先生の叱咤 ページ25
▪▪▪
坂「一世、今いいかー？」
「あ、はーい」
稽古の練習中、担任の坂田くん……じゃなかった、坂田先生に呼ばれ職員室に行く。
向かいに座る坂田先生は坂田くんほどキラキラしていないが大人になってもさらにかっこよくなっている。これでその真っ赤なジャージじゃなかったら学校での人気も高いんだろう。
きっと彼は『Aちゃん！』と無邪気に呼んでくれることはない。
坂「おーい、どうしたぼうっとして」
「いえなんでも。鼻がつんとしてきただけっす」
坂「え、なに、昼飯寿司でも食べたの？」
天然なとこ変わんない。大人になっても健在のようだ。
「それより何か問題がありましたか？」
坂「いやそれを聞くのはオレの方だ。……お前、大丈夫か？」
ひとつトーンを落として顔を覗き込まれる。え？なにが？成績？馬鹿さ加減に引かれてる？結構持ち直した感じしてたけど、坂田くんに進路とか心配されてる？
「そんな私の成績ってやばいんですか……今はイベントを楽しみたいんですが……」
坂「え？成績について悩んでんの？話聞こうか？」
「ん？それについての心配なのでは……え？なにがですか？」
坂「『なにがですか』って、下園たちだよ」
「大丈夫ですよ。私の出番そんなにないし、自分たちも『姉役』がありますから」
坂「………強いんだな」
「なにがですか？」
坂「クラスの女子から聞いてるよ。『散々バカにされてる』って」
「あははっ、最初から知ってるなら言ってくださいよー」
坂「ごめんな、担任としてはなんとかしたいんだが……」
しょぼんとしてしまった。上目遣いがかわいいのなんの、罪悪感半端ないんだが。
「大丈夫ですって。志麻くんといる時は何もしてこないですし、ゆうても言葉だけですから。体に来ないだけましですよ」
坂「体に来たらさすがに止めるわあほか！」
怒られた……。最後に聞いた叫び方と少し似ていて思わず体をビクつかせる。
「そ、そんな大きな声出さなくても……」
坂「あ、ごめん」
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年1月8日 21時
