三色パラソルの下 ページ12
「まあでも私たち中学生だし、子供よ」
坂「そっか、オレら中学生やもんな」
「そうそう」
坂「じゃあ、子供らしくはしゃぎますか！」
「ですね！」
「水平線まで競走しようか」なんて指さして言えば、「やっぱ子供やなぁ、水平線まで行くのは無茶よ」と笑われてしまった。
お日様は高く、空もどこまでも広がっている。この夏、永遠に続くんじゃないかと思わせるほど至る所が、もしかしたら私自身も、きらきらしていて、綺麗だった。
▪▪▪
「あれ、ひとり？」
三色パラソルの下、組んだ指を枕にしてたセンラくんが片目を開けてこちらを見た。
セ「……ん、Aか」
「『Aか』…ってひどいなぁ」
セ「またナンパかと思ったの」
「『また』ってことはもうされたんだ」
セ「大学生のグラマラスなおねーさんにね」
「『君ひとり？ よかったらお姉さんと遊ばない？』……みたいな？」
セ「まんままんま。こちとら中学生やっちゅーのにな」
「まあセンラくんって周りの男子よりだいぶ大人っぽいから」
セ「……少なくともお前らよりはな」
「ひどっ！……ってデジャブ感。これさっきもやったよ」
セ「坂田は？」
「ジュース買ってきてくれるんだって」
セ「あいつ、こういうところだけは気が利くなぁ」
「…って15分くらい前に行ったんだけど、やっぱ戻ってきてないね」
セ「迷子か……？」
「察しが良くて助かる。探しにいかない？荷物もっててたら大丈夫だろうし、あそこの監視員さんに頼んでさ」
セ「そやな。ほんま手のかかるやつやわ」
「まあまあw」
探すこと5分。坂田くんは一向に見つからない。砂漠で真珠を見つけるよりは簡単だろうが、いかんせん昼時で海から出てきた人でごった返しているのだ。
セ「なあ…」
「んー？」
セ「あー……坂田と、どう？」
「えっ、なに急に。上手くいってる、と思うけど」
セ「だよなー。傍から見ててもよう分かるわ。まるで小学生みたいに純粋純朴で健全で、どーせキスもまだなんやろ」
「きっ、ききききす？！」
セ「うわ、その反応。今どき幼稚園生でもしてるで」
「そ、そうなの？ ハレンチな……」
セ「Aは純粋ちゃんやからなぁ。そのうち狼に食べられるぞー」
「狼？」
セ「そ、俺とか」
「人肉を食べるとかそういう趣味があるんですか？成長途中だし私たぶん美味しくないですよ…？」
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年1月8日 21時
