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学校にもバイトにも慣れた。


香菜さんも無事に出産した。


お店が休みだったのは10日間だけだった。


ケーキを作っては家に帰り、戸締まりにまたやって来る。


念願のお店で、出来るだけお休みにはしたくないそう。


私も学校よりもバイトの方が楽しい。


香菜さんにお願いして週6でバイトをしている。


今もバイトが終わって帰り道。


あれから数ヵ月、あの通りには行っていない。


あの人がそう言っていたから。


結局彼処は何なんだろ。


『ありゃ。』


いつもの道は工事中。


久しぶりにあの通りを通ろう。


月明りもあるし、あの中に入らなければ大丈夫だよね。


薄暗い路地を進んでいく。


本当に不思議な所だな。


この通りだけ月明りがあるにも少し暗く感じる。


『ふぁ〜。』


眠くなってきた。


あれ、人だよね。


フラフラしてる人が歩いて来る。


酔っぱらいかな。


暗いあの入口近くで擦れ違う。


『っ・・・。』


急に腕を引っ張られて口を塞がれた。


フラフラしてる人は暗いあの入口へと入って行った。


そうしたら口に当てられていた手は離された。


「来てはいけないと言っただろう。」


振り向いた先には包帯の人。


『あ・・・ごめんなさい。』


この前言われたのに。


「・・・君は、知らない者の言うことを聞くのかい。」


『え?危ないって心配してくれたんですよね?



違ったのかな。


「ふふ、そうだね。」


『笑った!』


「は?」


この間とは違う。


ちゃんと笑った。


『なんだぁ。笑えたんだ、ふふふ。』


「変な子。それよりこんな所にどうしたのかな?」


『ちゃんと此処は通ってなかったんです。今日はいつもの道が工事中で。』


「そう。・・・私が恐くないのかい?」


恐い?


『どうしてですか?』


「私はポートマフィアだよ。」


『ポートマフィア・・・。』


確かヨコハマを取り仕切ってるんだっけ。


そんな感じだったような。


『それが恐いんですか?』


え、そんなに目を見開かれても・・・私なんか言っちゃいけないこと言ったとか。


『恐がれば良かったですか?』


「否、・・・ふふ、本当に変わってるね。」


話しやすい人だなぁ。


あ、また人が来た。


「もうこれからの時間、此処は危険だ。」


腕を引かれながら路地を足早に歩く。

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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年9月23日 23時

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