【文スト】●十人十色〈過去編〉● (ページ11)

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ボーッとしてるけど大丈夫かな。

覗き込んだらすっごく驚いてるし。

『大丈夫ですか？具合い悪いですか？』

「大丈夫だよ。」

笑顔を見た感じは大丈夫そう。

『良かったです。もし何かあれば言ってくださいね！話せば楽になることもありますから。』

アドバイスなんてそんなことは出来ないけど。

『私なんか話を聞くくらいしか出来ませんけど、良かったら使ってください！』

そう伝えれば優しい笑顔で

「ありがとう。」

そう言ってくれた。

「転職することにしたんだ。」

『へぇ。何されるんですか？』

「それはこれから会う人に紹介してもらう予定なのだよ。」

『良い所だといいですね！』

ということは、危ない仕事じゃなくなるのかな。

そうだと嬉しい。

『あ、じゃあ決まったらお祝いしましょう！』

「お祝い？」

『就職祝いです！あ、転職祝い？新しい門出ってことで！』

話している感じは何だか嬉しそうだから、きっと良い転職なんだろうなぁ。

「どこか、私の友人に似ているね。」

『そうなんですか？』

どんな人だろう。

「君みたいに感情が出るタイプではなく、むしろ真逆だった。」

『それじゃあ似てないんじゃないですか？』

真逆って、似てるって言わないよね。

というか・・・〈だった〉って言ったよね。

「根本的な所かな。」

『あの・・・』

「今日は遅くなったから帰った方がいいよ。」

確かに人通りも減ってきた。

『次はいつ会えますか？』

「言うと思ったよ。」

笑いながら太宰さんは

「来週、此処で。」

『はい！』

柔らかく笑って手を振ってくれた。