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天気が良いなぁ。
手を通したばかりの新しい制服は少し固い。
だけど憧れの高校生になった。
スカートは少し短くしてネクタイは緩く。
最近見つけた美味しいケーキ屋さんで何か買おう。
自分への入学祝。
「ありがとうございました！」
優しい笑顔の店員さんに、ガラス越しに会釈をしてくれるパティシエのお姉さん。
制服にケーキ。
さらに天気も良くて気分も上がる。
何だか真っ直ぐ帰るのは勿体ない。
私は孤児院出身。
両親のことは全く知らない。
気がついたら孤児院での生活が当たり前だったから。
私の居た孤児院は高校生になると卒業までは少しだけお金をくれて、用意されたアパートで1人暮らしになる。
良くも悪くもなかった孤児院。
特別嫌な思いをすることも、良い先生がいるわけでもなかった。
一人暮らしになれて少しホッとした。
誰かが待ってるわけでもないし、少しいつもと違う道で帰ろう。
胸が高鳴る。
鼻歌交りに普段通らない道を通る。
日はまだ高めだし、少し薄暗い路地も怖くない。
ただ、その通りには一ヵ所だけ昼間だというのに暗く見える場所があった。
なんだろう。
気になって覗いてみれば・・・
「――――――――――――」
うっすらとだけど声のような物が聞こえた。
姿は見えない。
ただ、下の方にに小さく何か建物のような物が見える・・・ような気がする。
何だろうか。
気になるけど、ケーキが駄目になってしまったら大変。
今日は帰ろう。
また鼻歌交りに道を歩く。
そういえば、この通りでは誰ともすれ違わなかったなぁ。
珍しい通りなのかな。
何て思っていたら、片目を怪我しているであろう黒い外套の男の人とすれ違った。
たまたま今は人が通らなかっただけで、この通りも人は通るんだな。
さぁて、早く帰ってケーキを食べたい。
足早に気分良く帰路についた。
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過去編書きはじめました。
〈包帯少女〉様、リクエストありがとうございます。
掛け持ちすみません。
しかもこれから数日中に別に新作作る予定です。
重ねて掛け持ちごめんなさい。
更新ゆっくりですが、お付き合い頂けると嬉しいです。
2017.9.23 月宮 柚妃
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作者名：tukimiyayuzuki | 作成日時：2017年9月23日 23時
