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それから2時間程して携帯が鳴った。
「待たせて悪かったね。今日は何もやることは無くなったんだ。帰っていいよ。」
『いえ、でも・・・』
「・・・中也も待ってると思うよ。」
『え・・・』
「また明日ね。」
『はい、また明日。失礼します。』
何だったのだろう、急に無くなるなんて。
それよりも・・・いつもの太宰さんだった?
何か違和感がある気がしたけれど・・・。
明日の任務で太宰さんに会えば判るかな。
「という感じで行くよ。」
『判りました、手筈は整えます。』
太宰さんの作戦立案通りに部下達へ指示を出す。
用意された車に乗り込み、目的地へ向かう。
矢張りどこか何時もの太宰さんではない気がする。
目的地に着けば部下達は配置へ着いたり、準備をしたりと忙しない。
私は未だ太宰さんの隣で待機だ。
『あの、太宰さん。』
「ん?」
『どうかされましたか?』
そう聞けば目を見開かれた。
「・・・どうしてそう思うんだい?」
『聞かれると・・・困りますが、何となくです。』
答えれば太宰さんは微笑んで、
「Aちゃん、私はポートマフィアを抜けるよ。」
そう、力強い瞳で言った。
「一緒に来ないかい?」
『本気・・・なんですね。』
瞳を見れば判る。
揺るぎ無い決心が。
「私は人を救う側になる。私の事を理解ってくれていた友人がそうするべきだと道標をくれた。A、君も来ないかい?」
『この作戦、私達だけでも遂行出来ますね。』
きっと太宰さんはこの任務中に居なくなるつもりだ。
「返事を貰えないかな。」
『判っているんですよね?私の返事。』
「結局、私の中の予測でしかない。直接Aちゃんから聞いていないからね。」
この作戦は私が入って成り立つものだ。
そうなると判っていて、立てた作戦でしょう。
『私は一緒には行けません。初めて貰った居場所を無くしたくないんです。』
これは素直な気持ち。
太宰さんに着いて行きたくない訳じゃない。
寧ろ・・・
『太宰さんと離れるなんて・・・寂しいです。』
「本当にAちゃんは嬉しいことを言ってくれるね。」
違う、私は我が儘なだけ。
寂しいなら着いて行けばいいのに、そうしないのは私だ。
「生きているんだ、また会えるさ。」
そう笑う太宰さんは今までで一番寂しそうだった。
「いつでも開始出来ます。」
部下達の準備が整った。
「では、はじめようか。」
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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時