【文スト】●益者三友●【双黒・中也】 (ページ48)

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「美味い。」

『良かったです。』

作った物はお口に合ったようで、完食してくれた。

誰かに作った物を食べて貰えるのって、嬉しいんだなぁ。

そんなことを思いながら洗い物をしていたら、ソファに座っていた中也さんの姿が見えない。

お手洗いだろうか。

蛇口を閉める。

『きゃ・・・！』

急に後ろから抱き締められて驚いた。

「簡単に後ろ取られてンなよ。」

『す、すみません・・・///気が抜けてました・・・///』

家に居る時も気を付けなくちゃ。

「俺が居る時は良いけどな。」

『な・・・///』

「此方向けよ。」

言われるがまま緩められた手の中で向きを変えれば、悪戯っ子のような笑顔。

可愛い、と思った。

「可愛いとか思ってンなよ。」

『バレ・・・』

ましたか、と続ける事は出来ず、代わりに唇には中也さんの唇が。

「ハッ、真っ赤だな。」

『・・・・・っ！』

恥ずかしすぎる・・・・・・・！

でも、格好良いな。

昨日よりも少し早く出勤した。

其処には太宰さんの姿は無く、今日は早く来れたことに安堵し、机に向かうと、

〈今日は此れ〉

とメモが。

まさか今日も早く来ていたとは。

指示された仕事をしよう。

午後、窓の外を見ると雨が降ってきた。

仕事は後もう少し。

何だろう。

雨だからだろうか。

胸がざわつく。

嫌な予感・・・というやつだろうか。

ただ単に、雨だからそういう気分になっていることを願う。

残りの仕事を片付けてしまおう。

終えた書類を提出し、執務室へ戻る為に廊下を歩いていると正面から足早に歩いて来るのは・・・

『太宰さん？』

「A・・・執務室で待機していて。」

『判りました。』

昇降機に向かって去って行った。

何かあったのだろうか。

待機ということはこの後、何か指示があるということだ。

私の仕事はソレを待つこと。

執務室へ戻り、出来ることをして待つ。

夕刻になったが未だ指示はない。

「帰れるか？」

『今日は大事な仕事になりそうなので。先に帰って下さい。』

「あの青鯖・・・。」

『本当にちゃんとした仕事を・・・』

「判ってるよ。」

いつもふざけているが、仕事をこなしている太宰さんのことを中也さんも知っている。

『では、また明日。』

「あぁ。気を付けろよ。」

中也さんを見送り、窓に目をやれば雨は上がっていた。