【文スト】●益者三友●【双黒・中也】 (ページ46)

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『ありがとうございました。』

「おぅ。太宰の奴に気を付けろよ。」

『大丈夫です。太宰さんは素晴らしい上司で仲間ですから。』

そう言えばヒラヒラと手を振って私とは反対側の廊下を歩いて行った。

今日の仕事の手順を考えながら歩き、執務室の扉を開けば

「やぁ、おはよう。」

『おはようございます？』

何故この時間に？

今まで一度もこんな早くに来たことは無かった。

遅れたり、最悪任務が無い日は来ない日まである始末だった。

しかも朝から書類を手にしている。

「失礼だよ、A。」

『声に出ちゃいましたか？』

「顔に全部書いてあるよ。」

何度も言われて来ていることだから、慣れてはいるけど。

私は口に出さなくても、思っていることは中也さんと太宰さんには丸分かりらしい。

珈琲を入れて太宰さんの机に置いて、自分の通信機を立ち上げながら書類に目を通す。

「中也と一緒に来たのかな？」

『な、なっ///』

いやいや、そんな面白そうな顔で見ないで下さい。

「あーあ。私のAちゃんが蛞蝓のものになるなんて。」

恥ずかしい。

完全に比喩かっている。

「Aちゃーん。」

『太宰さんのこと、尊敬してますよ。仲間として大好きです。』

「知っているよ。だけど傷つくなー〈仲間として〉って。」

私のことを好いて下さった人に、酷なことを言ってしまった。

「冗談だよ。それよりさー、珈琲おかわり。」

差し出されたマグカップにおかわりを入れながら太宰さんを見れば、何かをずっと考えているようだ。

だけど指示が無いから私には何も出来ない。

「心配いらないよ。」

にっこり笑ってくれた。

『私の今日の仕事は・・・まさか。』

太宰さんの机の下に、山になっている書類。

入ってきた時には見えなかった。

「ミミックを優先にしていたらいつの間にか溜まっていてね。」

『凄い量なんですけど・・・。』

「半分は中也のところに置いてきてある。」

この笑顔だけ見れば、世の女性は卒倒するのではないかと思う。

恐る恐る書類を見れば、期限が迫っている書類ばかり。

『これは不味いですよ！』

終わらないとか洒落にならない。

「私は手が離せない、よろしくね。」

どうしようとか思っている時間すらない。

書類を持てる分だけ机に置き、早急に取り掛かった。

「流石は私の補佐だねぇ。」

爽やかな笑顔に一瞬、本当に一瞬だけ殺意が・・・。