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太宰さんは外出していて戻って来ていない。
もし定時に帰っていなくても、上がるよう言われている。
もう少しで時間。
仕事は終わっているので、時間まで執務室の整理をする。
棚や太宰さんの机周り。
序でに掃除もしよう。
棚の拭き掃除をしていると
ドンッ
『ほぉあ!?』
いきなりの大きな音に驚いた。
音の方を見れば中也さんが立っていた。
「太宰は居ねぇのか。」
『まだ戻っていません。』
時計を見ればいつの間にか定時は過ぎていた。
良く見れば帽子に外套、帰り支度が済んでいる。
「彼奴が戻るの待つのか?」
『いえ、帰って良いと言われています。』
「ならさっさと帰るぞ。青鯖の顔見なくて済ンだ。」
あ、心臓の音が五月蠅い。
『は、はい!』
急いで帰り支度をして、中也さんの隣を歩いた。
初めてな訳ではないのに、緊張感が・・・。
マンションに着いて何時ものようにお邪魔する。
何時ものように待って、一緒に食べる。
どうしたら良いのだろうか。
「なぁ。」
中也さんはにやけながら
「ンな緊張すンなよ。」
『す、すみません・・・。』
何だか恥ずかしくて・・・。
そういえば、今日は葡萄酒の減りが遅いような。
「今日、帰るなよ。」
『はい。・・・・・え?』
反射的に返事をしてしまったけれど、今、凄いことを言われた気がするんだけど。
「返事、取り消し効かねぇから。」
『えぇぇぇぇ!?』
そんなそんな!
無理だって!
「風呂入ってこいよ。」
マンションは造りが同じだから、部屋の配置も分かる、じゃなくて。
『家、隣ですしお邪魔しました。』
帰ろうとすれば腕を引かれて抱き締められた。
『ちゅ・・・中也さんっ・・・///』
「帰したくねぇって言ってンだ。」
顔から火が出るとは、こういうことを言うのだろう。
「何もしねぇから、泊まっていけよ。」
蒼い瞳を見ればお酒のせいか何時も以上に艶っぽくて、余裕な笑顔をされて、私には頷く以外に選択肢は無かった。
借りたお風呂は凄く綺麗に手入れされていて、緊張しながら浸かった。
どうしよう。
泊まるってことは一晩中一緒?
うわぁ〜///
私の心臓大丈夫かな・・・。
緊張が解けることなく、お風呂から上がれば中也さんが交代で入りに行った。
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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時