【文スト】●益者三友●【双黒・中也】 (ページ42)

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ミミックか・・・どうしたものか。

Aちゃんはどうするのかな。

・・・愚問か。

溜め息を吐いて執務室の扉を開ければ、何時も通りの珈琲の香り。

『おはようございます。』

「おはよう。」

何時も通りの可愛い笑顔。

いや、何時も以上に可愛い。

透明感しかない。

整理された机。

流石私の補佐で真面目な彼女。

椅子に腰掛け、珈琲を口にする。

私の大好きな甘い甘い珈琲。

『太宰さん、お話したいことがあります。』

真っ直ぐに私の瞳を見つめる。

「何かな。」

今から聞かされることに察しは付いていた。

『私、中也さんが好きです。』

「うん。」

知っていたよ。

君と中也だけが気付いていなかった。

悔しかったから蛞蝓に何て教えてやらなかった。

『お気持ち、嬉しかったです。恩人として、上司として仲間として、太宰さんのこと、尊敬しています。大好きです。』

「ありがとう。全く、優秀な部下の彼氏があの蛞蝓とか苛つくけれどね。」

そう言えば、Aちゃんは目を見開き、頬を赤く染めて安心したように

『ふふ、すみません。』

と、可愛らしく笑った。

安心したのは私に嫌われることを恐れていたからだろう。

そんなこと、有るわけないのに。

「私はAちゃんを嫌いになどならないよ。」

『お見通しですか・・・ありがとうございます。』

律儀にお辞儀をしている。

さて、では優秀な部下に仕事を頼むとしよう。

勿論、ミミックには関わらせない。

裏が有るであろう危険に態々曝すなんてことはしない。

嫌な予感がする。

指示を出して、昏睡になっている織田作の所へ行こう。

Aちゃんもミミックに関して聞いてくることもない。

はぁ、人生初の失恋の後にミミックのことを考えるなんて、何時から仕事人間みたいになったのか。

私は友人の為に動こう。

彼女も大切な友人だと、今、胸を張って言える。