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〈40〉 ページ40

何時もより3時間早く起きた。


身仕度を手早く済ませて本部へ向かう。


早朝だから人は少ない。


出来る限りの仕事を終わらせて時間を作りたかった。


太宰さんの机の整理、書類確認、入力等。


終わる頃には何時もの出勤時間の1時間前。


太宰さんは今日もミミックの件での仕事だ。


一度執務室に来てから、外か若しくは拷問部屋等での仕事になるだろう。


そうなると話せるのは朝だから、1時間後には戻ってきたい。


もう来ているだろうか。


真面目な人だから時間通りに必ずいる。


まだ早いけれど・・・行ってみよう。


何時もの執務室を後にして、廊下を進んで行く。


扉の前で深呼吸をして、ノックをする。


「入れ。」


『失礼します。』


許可を得て入った筈なのだけれど。


椅子に座って書類を片手に目を見開いている。


『おはようございます。お早いですね。』


書類に目を戻して、


「あぁ、手前もな。」


と、何時も通りな会話に。


いざとなったら緊張してしまって、暫く沈黙が続いてしまったが、


「・・・来ると思わなかった。」


小さくそう聞こえた。


胸がきゅっとなった。


『中也さんに伝えたいことがありまして。』


そう言えば、蒼い瞳が真っ直ぐに私の目を見つめる。


心臓ってこんなに煩くなるものなんだ。


『太宰さんに好きって言われて、好きって気持ちが分かりませんでした。だから、考えていましたが・・・考えても分からなくて。』


思ったことをきちんと伝えたい。


『だけど・・・』


伝わって。


『中也さんに好きって言われて・・・分かりました。私、あの時、嬉しくて涙が出たんだって。中也さんに好きって言われて初めて、自分の気持ちが分かったんです。』


これが私の気持ち。


『好きです、中也さんのことが。』


目を見開いて、暫くそのままだった中也さん。


これは私、どうしたらいいんだろう。


伝えたいことは言った。


けれど、目を見開いたこと以外に反応が無い。


困っていると溜め息が聞こえた。


かと思うと、此方に歩いてきたと思えば止まることなく、私は中也さんに抱き締められていた。

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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時

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