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〈38〉 ページ38

『・・・中也さんも接吻するんですか。』


「ハ?」


赤い顔と涙目になりながら、上目遣いになっている今の状況に心臓の音が五月蠅ぇ。


『好きな人には接吻するものですか?そもそも、好きって何ですか?』


酔っ払ってるな此奴。


・・・一寸待て。


俺も接吻するかって言ったな。


つまり接吻されたってことだ。


確かに今日は変だと思っていたが・・・


「太宰の野郎か・・・。」


小さく頷いて俯いた。


彼奴がAを好きだって事は知っていた。


今まで手を出さ無かったから、何処でAには何もしないと思ってしまっていた。


今すぐ殴り殺したいところだが、今は此奴だ。


『前にもこんな事がありましたね。』


一度本音を話したあの時のことを言ってるンだろう。


『私は、周りの人達が好きです。だけど、太宰さんに言われた時に空気が違うと思いました。』


糞太宰に先を越されたのは尺だが、俺だってはっきりさせてぇ。


『本当にこの前と一緒だなぁ・・・。今のままの関係でずっと居られたらなんて、笑える、また私は繰り返してるんだ。』


酔っているせいか、俺が居るのを忘れたように笑っている。


『あーあ。接吻、初めてだったのに。それより、ちゃんと考えないとって好きはどんな好き?』


自問自答してるが・・・初めて?


初めての接吻を太宰に奪われたのかよ・・・。


拳が震えた。


だが、太宰が用意したソコに俺も乗る。


「A。」


『っ!ごめんなさいっ!重いですよね!』


慌てて俺の前から立ち上がろうとした腕を引いて止めた。


「好きだ。」


目を見開いて固まるAの目からは涙が流れた。


『・・・離してください。』


言われた通り離したが、逃げずに下を向いている。


てっきり逃げられると思っていたが。


『・・・帰ります。』


丁寧に頭を下げて玄関に向かっていったが、振り向き一言、いつもの笑顔で言った。


『また明日。』


扉が閉まるのを見届けて、テーブルの上にまだ残っていた葡萄酒を流し込んだ。


矢張り旨い。


この旨さを彼奴にも分かって欲しい。


どんな結果になっても、Aのことを恨んだりする気なンか無ぇ。


後は決めるのはAだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
掛け持ち更に始めてしまいました。


【文スト】●彼らへの最適解●


更新ゆっくりになりますが、良かったらよろしくお願い致します。

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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時

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