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サラダもパスタもとても美味しくて、お店で出せるくらいの物だった。
頂いた葡萄ジュースもとても合い、すっかり幸せ気分になった。
食後、大分お酒を飲まれた中也さんからの話は先程まで仕事の内容で、如何に真面目に仕事をしているかが伝わってきた。
ある話から徐々に話は逸れていき、
「ってぐらい、厭な奴なンだよ彼奴はっ!」
太宰さんへの愚痴だった。
弄ばれている愚痴から始り、もう数時間聞いている。
だけど、段々と酔いも回ってきたのだろう。
ウトウトしては少し話す、を繰り返しになってきており、勝手ながら食器は洗わせて頂いた。
「ンなもン、適当に置いとけよ。」
『いえ、美味しいご飯をご馳走になったんです。これくらいさせて下さい。』
中也さんを見れば、また夢の中に行っている。
『中也さん、私、帰りますね。』
「ぁー・・・。」
返事だと受けとることにして、隣の自分の家へと戻った。
何故だろう。
あれから仕事後は、太宰さんか中也さんと居ることが多くなった。
数カ月の間に大分仲良くさせて頂いている。
織田さん、坂口さんともよく話すようになった。
今日も太宰さんに誘われてlupinで飲んで2人で帰っている途中だ。
『お酒強いですよね、太宰さん。』
「中也と比べているのかい?」
確かに中也さんはどちらかと言えば弱いだろうな。
『そういうわけじゃないんですけど。変わらないですよね。確りしてると言いますか。』
「そうだねぇ。」
何かを考えている顔は月に照らされて、綺麗。
『何を考えているんですか?』
「何だと思う?」
『・・・分かりません。』
太宰さんの考えを補佐になってからは、特に理解しようと思っているが、全然と言えるほど分からない。
と、答えると目の前には太宰さん。
今までにない、鼻と鼻がくっつく距離だ。
『なっ・・・・・///』
「教えてあげるよ。」
唇に温かいものが重なり、それが太宰さんの唇だと分かるまでに数秒掛かった。
離れた太宰さんの笑顔は優しいもので、
「Aちゃんのことを考えているのだよ。」
溶けてしまいそうな、甘い声が耳元で響いた。
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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時