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「来たのか。」
無表情、そんな言葉以外に印象を受けない男の人が此方を見ている。
「やぁ、織田作。居るだろうと思ってね。」
手招きをされて、太宰さんの隣に座る。
「この子が言っていた子だよ。」
太宰さんの向こう側から覗かれた。
『星宮 Aと言います。』
「貴女が苦労している方ですか。」
入って来たのは眼鏡をかけた、所謂真面目そうな人。
「良いタイミングだね、安吾。」
私の隣に座った人は、眉を下げて
「太宰君の補佐なんて大変ですね。私は坂口安吾、情報員です。」
ポートマフィアの人だった。
坂口安吾さん、名前と役職は知っていたが顔は初めてみた。
「俺は織田作之助、下級構成員だ。」
「織田作の腕は誰よりも良いのだよ。人を殺さないマフィア。」
え。
マフィアに居て、殺しをしない人がいる?
そもそも、そんな人がマフィアに居続けられるんだ。
「ふふ、良い反応だね。」
『驚きますよ。』
殺しをしないマフィアなんて噂なだけだと思っていた。
何て考えている間に、坂口さんが凄く忙しそうに突っ込みをしていて太宰さんは趣味を爆発させている。
挟まれている私はそっと席を離れて、その様子を見守ることにした。
すると、視界に隣の席を指で叩く織田さんが見え、目が合うと頷かれたので隣に失礼した。
『ありがとうございます。』
まだやり合っている中、織田さんは太宰さんの話に相槌を打っているが、内容は太宰さんの話を全て飲んでいる。
態と?天然?
見た感じは素。
天然なのかな。
太宰さんが凄く生き生きしている。
とても仲が良く、大切な御友人なんだということが分かった。
そうして夜が更けていくと、段々と眠気が襲ってくる。
「帰ろうか。」
『わっ!は、はい。』
気づけば目の前に太宰さんの顔が合った。
お2人に挨拶をしてバーを後にした。
「かなり眠そうだね。」
今すぐにでも眠りにつきたい。
『そうですね。今日は体力不足を思い知ったので。』
「体力不足?あぁ、体術かい?」
『今日は激しかった気がしたんですけど、私の体力不足が原因でした。』
「中也の機嫌でも悪かったのかな。」
私も考えたけど、思い当たることもなかったし結局私の体力不足なんだろう。
「ふらついているよ。」
肩を抱き寄せ、支えてくれた。
「家まで支えててあげるよ。」
『ありがとうございます。』
上司に支えて貰ってる私って問題なんじゃ・・・。
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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時