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『星宮です、入ります。』
重い扉を開けば
「リンタロウ、ケーキ足りないっ!」
「まだ沢山あるよ。」
ケーキを差し出している首領と、美味しそうに食べているエリスちゃん。
『遅くなり、大変申し訳ありません。』
「おや、久しぶりだねぇAちゃん。大方、太宰君が伝えていなかったのだろう。」
分かって頂いているようで助かった。
「久しぶり、A!全然会えないんだもの。」
「太宰君が中々会わせてくれないからねぇ。」
「また遊んでね、A。」
『ぜひ。』
エリスちゃんは後ろに下がって、首領はいつもの椅子へと腰を下ろした。
「君に此れを渡したくてね。」
『拝見します。』
「今日、掲示したからね。」
書面を確認すると・・・。
『・・・・・え?』
「おめでとう。幹部補佐へ昇格だ。」
私が?
幹部補佐は
太宰さんや姐さんの五大幹部
中也さんの準幹部
の次にあたる役職だ。
「太宰君の補佐だよ。確り頼んだよ。」
優しく微笑んでくれるこの人が、ポートマフィアの首領だということを一瞬忘れそうになる。
『ありがとうございます!頑張ります!』
首領室を後にして、急いで執務室に戻った。
『太宰さん!』
だけど、そこに姿は無かった。
まだ用事中なんだろうか。
扉を閉めて、また駆け足で廊下を進んだ。
ノックをして
「は」
『中也さん!』
勢いよく扉を開けた。
「まだ言ってねぇよ。」
『中也さん!私、幹部補佐になりました!』
「知ってる。」
持っていた書類を机に置き、ニヤリと笑われた。
『えっ何で・・・』
「俺等には通達がある。まぁ無くても、本部内には掲示されてるからな。手前以外は全員知ってる。」
そう言われれば、首領も言っていた。
毎日書類も見ていたし、朝、掲示物も確認した筈だけど。
「あの青鯖が隠してたンだろ。」
『うーん。』
なぜそんなことをしたのかは、分からないが、今になって頬が緩む。
嬉しい。
頑張ってきて良かった。
「はっ。顔、溶けてるぞ。」
笑われているが、それさえも嬉しい。
『お2人に近づけたのが、すっごく嬉しいです!』
「そうかよ。」
立ち上がって給湯室からマグカップを1つ持ってきて、頭を優しく撫でてくれた。
「今は取りあえず此れだな。」
差し出されたのはミルクたっぷりの珈琲。
チンッ
「良かったな。」
乾杯して飲んだ珈琲は、物凄く甘くて、私用に入れてくれたのが嬉しかった。
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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時