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目に入る書類の量は、想像していたよりも大分少なかった。
どれ程溜まっているのか心配したけど、これは今日の分位だろう。
時計を確認すれば16:26。
夕方だったんだ。
書類を整理をして、終わる頃に太宰さんが戻ってきた。
「早いね、助かったよ。」
『いつもより少なかったですから。』
太宰さんが溜めずに書類出来たのだろうか。
「私だってやれば出来たのだよ。」
『そんなに分かりやすいですか、私。』
にっこりと頷かれれば、苦笑するしかない。
「面白いくらいにね。」
『うーん。』
そんなに顔に出てしまっては、任務に影響してしまうのでは・・・。
「銃撃戦の中、君は顔色一つ変えなかった。大丈夫だよ。」
『それは良かったです。』
あの音の無い静かな空間を思い出した。
「しばらくは私と中也との任務には付いて来てもらうよ。」
『分かりました。』
それから数ヵ月。
黒社会で【双黒】と呼ばれる組合になった2人と任務をこなした。
もちろん空いた時間は銃の訓練や、体術の訓練に充てた。
太宰さんは趣味を戦場でやるから、止めるのに必死だ。
しかし何故か今まで弾は当たらない。
良いのだけれど、凄いと思う。
中也さんはそんな太宰さんに悪態を吐き、いつもの言い合いになる。
この2人の息はピッタリだ。
そして最近はやたらと
『近いです、太宰さん。』
この距離感。
物理的に歩いている肩と肩が触れそうになる。
「可愛いAちゃんの近くに居たいのだよ。」
向かっている先からは
「嫌がってるじゃねぇか。」
中也さんが眉間に皺を寄せながら歩いてきた。
『お疲れ様です。』
「良いでしょう、羨ましいでしょう。」
にこやかに肩に手を回される。
「莫迦か。俺は手合わせでしょっちゅう触れてンだよ。」
こんな感じだ。
何なんだろうか。
向かっているのは私達のマンション。
同じマンション、同じフロアとなれば、一緒に帰ることは日常化する。
『お疲れ様でした。』
部屋の鍵を開けて、両隣の部屋の2人へ挨拶をして中に入る。
手洗いをして、シンプルな物がないリビングで冷たいミネラルウォーターを飲む。
床に座るってボーッとする。
外は暗くなりはじめていた。
もしも、ポートマフィアとあの2人が・・・
『っ!』
頭を振って考えることを止めた。
止めたというよりは拒否した。
何も考えないでお風呂に入って寝よう。
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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時