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〈17〉 ページ17

目に入る書類の量は、想像していたよりも大分少なかった。


どれ程溜まっているのか心配したけど、これは今日の分位だろう。


時計を確認すれば16:26。


夕方だったんだ。


書類を整理をして、終わる頃に太宰さんが戻ってきた。


「早いね、助かったよ。」


『いつもより少なかったですから。』


太宰さんが溜めずに書類出来たのだろうか。


「私だってやれば出来たのだよ。」


『そんなに分かりやすいですか、私。』


にっこりと頷かれれば、苦笑するしかない。


「面白いくらいにね。」


『うーん。』


そんなに顔に出てしまっては、任務に影響してしまうのでは・・・。


「銃撃戦の中、君は顔色一つ変えなかった。大丈夫だよ。」


『それは良かったです。』


あの音の無い静かな空間を思い出した。


「しばらくは私と中也との任務には付いて来てもらうよ。」


『分かりました。』


それから数ヵ月。


黒社会で【双黒】と呼ばれる組合になった2人と任務をこなした。


もちろん空いた時間は銃の訓練や、体術の訓練に充てた。


太宰さんは趣味を戦場でやるから、止めるのに必死だ。


しかし何故か今まで弾は当たらない。


良いのだけれど、凄いと思う。


中也さんはそんな太宰さんに悪態を吐き、いつもの言い合いになる。


この2人の息はピッタリだ。


そして最近はやたらと


『近いです、太宰さん。』


この距離感。


物理的に歩いている肩と肩が触れそうになる。


「可愛いAちゃんの近くに居たいのだよ。」


向かっている先からは


「嫌がってるじゃねぇか。」


中也さんが眉間に皺を寄せながら歩いてきた。


『お疲れ様です。』


「良いでしょう、羨ましいでしょう。」


にこやかに肩に手を回される。


「莫迦か。俺は手合わせでしょっちゅう触れてンだよ。」


こんな感じだ。


何なんだろうか。


向かっているのは私達のマンション。


同じマンション、同じフロアとなれば、一緒に帰ることは日常化する。


『お疲れ様でした。』


部屋の鍵を開けて、両隣の部屋の2人へ挨拶をして中に入る。


手洗いをして、シンプルな物がないリビングで冷たいミネラルウォーターを飲む。


床に座るってボーッとする。


外は暗くなりはじめていた。


もしも、ポートマフィアとあの2人が・・・


『っ!』


頭を振って考えることを止めた。


止めたというよりは拒否した。


何も考えないでお風呂に入って寝よう。

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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時

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