検索窓
今日:14 hit、昨日:8 hit、合計:25,500 hit

〈46〉 ページ46

「弓が好きだと、答えられるくらいには進むことができた。」


『私も、嫌な気持ち無く、純粋に皆の射を観られるようになった。』


「お互い、良い方向へ進んだものだ。」


『雅貴さんのおかげだよ。』


キョトンとした珍しい青い瞳。


『私が止まらずに進めたのは。』


「可笑しな話だ。俺はAのおかげで進めたんだけどな。」


それこそ分からない。きっと私が今、さっきの雅貴さんと同じ目をしているだろうなぁ。


「A。」


『ん?』


「好きだ。」


『・・・え?』


「Aのことが好きだ。」


その瞳に吸い込まれたように、私の頭は何も考えられなくなった。


「聞いてるのか?」


『・・・うん。』


「ならいいが。」


そう言って笑う笑顔はとても余裕に見える。


「青森でも病院でも我慢したんだ。もういいだろ?」


『・・・凄い余裕。それは私が雅貴さんを好きだと分かってる証拠だよね。』


「そう見えるのか。」


何で意外そうなんだろう。


「そうか。」


笑ったと思ったら


ぎゅっ


抱き締められた。


「これでもか?」


・・・トクントクン


私の頭はちょうど雅貴さんの胸板にくっついている。それも耳がしっかりと。聞こえてくる鼓動は早い。


『うそ。』


「な?」


ドキドキしてる、雅貴さんが。


「一目惚れとか、いつから好きだとか、そんなことは言えないが。気付いた時には好きだったんだよ。」


それは私も同じだ。確かに学生の頃、告白をしたけれどあの時と今は違う。いつからとか、一目惚れとか、ずっと好きだったとかそんな若い頃みたいなことは言えないけど。


「返事はさっきの、そう受け取っていいのか?」


そんな勢いで言う言葉ではなくて。
気持ちを言葉にして伝えることは出来る。


真っ直ぐに青い美しい瞳を見つめる。


『・・・好き。』


そう伝えれば笑顔と温かい体温が唇から伝わってくる。


「離すつもりはないからな。」


『私だって。』


頑なになった臆病な私を溶かしてくれた雅貴さん。


一緒に笑い合う、青い瞳に映る私の笑顔───。






fin.

〈ご挨拶&宣伝〉→←〈45〉



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
132人がお気に入り
設定タグ:ツルネ , 滝川雅貴 , 風舞
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。