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「お取り込み中か。」
「違う。」
『は!?』
待って、この状況って・・・。
「雅貴、元気そうで何よりだ。」
「あぁ。ただ、待て。何か勘違いしてるだろう。」
『こ、これは私が落ちそうになって・・・!』
「そういうことだ。」
「まぁどっちでも良いんだよ。」
立ち上がり、側まで来てくれた。雅貴さんはそっと蓮さんの元へ。
「良かった、本当に。」
「心配掛けて悪かった。」
『すみません。』
凄く心配して来てくれたんだ。
「精密検査が終わるまではこのままだ。」
「そりゃそうだ。しっかり検査してもらえ。」
2人が並んで笑顔で話しているのを見ているとホッとする。
『やっぱり、そっくりですね。』
「前にも言われたな。」
『・・・言いましたか?』
「蓮。」
「っと。まぁまぁ、それはいいとして。」
良くない、絶対良くない。
「蓮、彼奴らのとこ、頼めるか?」
「あのなぁ・・・。」
『っ!』
気付かなかった。今はもう昼間・・・事故は夜だったのだから・・・今日は県予選───!
「分かった。今からだと・・・。」
「それでもだ。」
「任せろ。」
『お気をつけて。』
「おう。」
笑顔で急ぎ出て行った蓮さん。
『大会・・・。』
「やることはやってきたんだ。」
『そうだね。きっと風舞の皆なら大丈夫だよね。』
「俺は一度、病室に戻る。」
『うん。』
「大人しく休んでるんだぞ。」
『わかってる。』
「すぐ報せる。」
『ありがとう。』
どうか彼等が自分の射を出来ますように───。
外を舞う葉にそう思いを乗せる。
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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時