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「目が覚めて良かった。」
ベッドの横にある椅子に雅貴さんは座った。
「・・・どうした。」
私は雅貴さんの手を取っていた。
『無事で良かった。』
震えている手を逆に握り返されて、雅貴さんは椅子からベッドへと座り直した。
「恐い目に合わせた。」
『雅貴さんのせいじゃない。そんな言い方しないで、事故だったんだから。』
雅貴さんが悪いことなんて欠片も無い。
ぎゅっ・・・
「気を失った時、心臓が止まるかと思った。」
『ごめん。』
温かい。
「謝ることは無い。無事で何よりなんだからな。」
私も腕を回した。
「・・・おいおい。」
『本当に・・・良かった。』
実感出来る・・・ここに雅貴さんがいると。体温も、腕を回した大きな体も、今ここに感じてる。そう体温を・・・。
『な・・・?!』
急いで離れる。
「何だ何だ。」
『あ・・・。』
「おい!?」
離れたはいいけどベッドから落ち・・・。
ぐい!!!
「危ないだろ。」
『っ!』
腰に手を回らされ、引き寄せられていた。
『・・・ごめんなさい。』
「Aらしいけどな。」
『雅貴さんの怪我は?』
額の包帯に目がいく。
「血は止まってる。傷にはなるだろうが。」
『私を庇ってくれたから。』
「そうじゃない。さっきAも言っただろう、事故だって。お互い無事だったんだ。それが何よりさ。」
「はぁ・・・無事で良かったよ、2人とも。」
病室の入口には、ぺたんと座り込んでしまっている蓮さん。
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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時