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〈42〉 ページ42

「目が覚めて良かった。」


ベッドの横にある椅子に雅貴さんは座った。


「・・・どうした。」


私は雅貴さんの手を取っていた。


『無事で良かった。』


震えている手を逆に握り返されて、雅貴さんは椅子からベッドへと座り直した。


「恐い目に合わせた。」


『雅貴さんのせいじゃない。そんな言い方しないで、事故だったんだから。』


雅貴さんが悪いことなんて欠片も無い。


ぎゅっ・・・


「気を失った時、心臓が止まるかと思った。」


『ごめん。』


温かい。


「謝ることは無い。無事で何よりなんだからな。」


私も腕を回した。


「・・・おいおい。」


『本当に・・・良かった。』


実感出来る・・・ここに雅貴さんがいると。体温も、腕を回した大きな体も、今ここに感じてる。そう体温を・・・。


『な・・・?!』


急いで離れる。


「何だ何だ。」


『あ・・・。』


「おい!?」


離れたはいいけどベッドから落ち・・・。


ぐい!!!


「危ないだろ。」


『っ!』


腰に手を回らされ、引き寄せられていた。


『・・・ごめんなさい。』


「Aらしいけどな。」


『雅貴さんの怪我は?』


額の包帯に目がいく。


「血は止まってる。傷にはなるだろうが。」


『私を庇ってくれたから。』


「そうじゃない。さっきAも言っただろう、事故だって。お互い無事だったんだ。それが何よりさ。」


「はぁ・・・無事で良かったよ、2人とも。」


病室の入口には、ぺたんと座り込んでしまっている蓮さん。

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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時

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