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〈32〉 ページ32

「会ってきたんだ。」


フウは雅貴さんの肩に乗ったまま、目を閉じている。


「西園寺先生に。」


中崎弓具店で話していた先生。お祖父さんのことを知っている写真に写っていたお一人。
西園寺先生との会話を話してくれた。それがとても・・・嬉しい、と思った。


『お話、聞けて良かったね。』


「あぁ。」


『大曽根先生にも会いに?』


「いや。その日は県予選前日なんだ。」


タイミングが・・・。


「俺はじいさんよりも、今生きてる彼奴らが大事だからな。」


『・・・そっか。』


私に何か言えることも、言う権利もない。


帰宅後。


『あ。』


お風呂の用意をしていて、石鹸を切らしていたことを思い出した。帰りに買ってこようと思っていたのに、忘れてた。
コンビニでいっか。


「Aちゃん?」


会計を済ませていると、近くから声がした。


『蓮さん、こんばんは。』


「こんばんは。偶然だなぁ。」


『石鹸を買い忘れていて。』


「なるほど。・・・なぁ、今暇か?」


少し間が空いた後に言われた一言。


『まぁ。』


「少し、付き合ってくれない?」


家よりかなり離れた所にあるお店へ着いた。


お洒落なカフェのようなバーのような。


「帰りはちゃんと送るから。」


『いえ、お気遣いなく。』


「昼間はカフェで夜がバーなんだよ。」


『こんなお洒落な所、入ったことないです。』


チェーン店や居酒屋くらいで、バーなんて初めて。


「そりゃ良かった。何が良い?」


メニューを見ても何が何か分からない。


『お酒感が強いものは苦手で・・・オススメありますか?』


「よし、任せて。」

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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時

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