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「会ってきたんだ。」
フウは雅貴さんの肩に乗ったまま、目を閉じている。
「西園寺先生に。」
中崎弓具店で話していた先生。お祖父さんのことを知っている写真に写っていたお一人。
西園寺先生との会話を話してくれた。それがとても・・・嬉しい、と思った。
『お話、聞けて良かったね。』
「あぁ。」
『大曽根先生にも会いに?』
「いや。その日は県予選前日なんだ。」
タイミングが・・・。
「俺はじいさんよりも、今生きてる彼奴らが大事だからな。」
『・・・そっか。』
私に何か言えることも、言う権利もない。
帰宅後。
『あ。』
お風呂の用意をしていて、石鹸を切らしていたことを思い出した。帰りに買ってこようと思っていたのに、忘れてた。
コンビニでいっか。
「Aちゃん?」
会計を済ませていると、近くから声がした。
『蓮さん、こんばんは。』
「こんばんは。偶然だなぁ。」
『石鹸を買い忘れていて。』
「なるほど。・・・なぁ、今暇か?」
少し間が空いた後に言われた一言。
『まぁ。』
「少し、付き合ってくれない?」
家よりかなり離れた所にあるお店へ着いた。
お洒落なカフェのようなバーのような。
「帰りはちゃんと送るから。」
『いえ、お気遣いなく。』
「昼間はカフェで夜がバーなんだよ。」
『こんなお洒落な所、入ったことないです。』
チェーン店や居酒屋くらいで、バーなんて初めて。
「そりゃ良かった。何が良い?」
メニューを見ても何が何か分からない。
『お酒感が強いものは苦手で・・・オススメありますか?』
「よし、任せて。」
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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時