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「こんな素敵なお姉さんが来てくれてるって知ってたら、テンション上がったのにー。」
・・・待って。あの話は七緒君のことだったのかな。雅貴さんの方を見れば・・・笑っている。
「今日は無理を言って、お礼を言わせてもらう為に来てもらったんじゃよ。」
『無理だなんて、遅くなり失礼しました。』
「さて。片付けだ。」
「「「はい。」」」
テキパキと片付けをはじめる皆。
「迷わなかったか?」
『曲がるところ少なかったから。』
「そうか。」
『綺麗な道場だね。』
「あぁ。」
「使用されていなかったとは思えんじゃろう。」
『はい。』
ずっと誰かが来るのを待っていたのかな。だとしたら、良かった。それに・・・皆を見てると───。
「ほっほっほ。」
「・・・何を考えているんだか。」
「悪いことではないじゃろう。」
「まぁ、顔を見れば。」
『え、何。』
気付いたら雅貴さんに凄い見られていた。
「何がそんなに嬉しいんだ?」
『え。』
それはこっちの台詞。何で笑っているの。
「さて。戸締りは任せて良いかの。」
「勿論です。」
「入枝さん、またの。」
『はい、ありがとうございます。』
片付けを終え、帰り支度がバタバタとはじまった。
「えっと・・・入枝さん。」
『はい。湊君。』
声を掛けてくれたのは鳴宮湊君。帰り支度を終えて皆を待っているみたい。
「名前、もう覚えてくれたんですか。」
そんなに驚かなくても。
『ごめんなさい、勝手に話を聞いていたから名前は覚えているの。だから、自己紹介してくれた時は答え合わせみたいで。』
「話って、マサさんに?」
『うん。』
「それって、良い話?悪い話?」
「湊、何話してるの。」
静弥君も支度が終わったらしい。「嫌い」とコーチに言った本人。
「マサさんが俺らの話を入枝さんに話してるって話。」
「え。」
『ふふっ。』
凄い目で雅貴さんを見ている。
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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時