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「迷惑だと思ってはいないが、ああいう飲み方はしない方が良い。」
『もう、しない。』
絶対にしない。そもそも、お酒を特別好きなわけじゃないし。女の人に声を掛けられている姿が頭から離れなくて、気を紛らわしたかっただけなのに。・・・私・・・そんな風に思ってたんだ。
『・・・変なこと言ってなかった?』
「変なことしか言ってなかったな。」
『へ!?』
「可愛いこと、とか。」
『な!?』
何を・・・!?
「冗談だ。ただ、楽しそうだった。」
『それはそれで恐い。』
楽しそうって何してたの・・・?
「良い勉強だったと思って、後悔ではなく反省にするように。」
『はい。』
「よろしい。」
・・・また、頭に手を置かれた。文句を言える立場じゃない。けど・・・嫌じゃない。
「仕事の話で頼みがある。」
『はい。何でもやります。』
「反省は終わりだ。それとこれは話が違うからな。」
何とか頭を切り替える。
「神事があるんだが、その後に配るお札を包んでほしい。」
『勿論。』
お願いというよりは、いつもの仕事と同じだけど。
「希少で特別な物なんだ。それ故に普段より数も出る。」
『なるほど。』
「神事の準備で、清掃など細かい所に手が回らない。そこでだ。神事の日まで今日から住み込みで仕事を頼みたい。」
『住み込み?』
「ここなら勝手も分かるだろ?」
『まぁ。』
「食費も掛からないぞ。」
それはありがたい。
「どうだ?」
『分かった。神事はいつ?』
「明後日。」
『了解。』
必要最低限の荷物を取って、仕事をすることにした。
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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2023年3月26日 19時