【ツルネ】●溶け込むココロ●【滝川雅貴】 (ページ17)

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『あれ・・・雅貴さん?』

「あぁ、行くか。」

『行く?』

「足がふらついてるぞ。」

『歩けてるよ・・・あ。』

っ・・・!

『あれ?』

「ほらな。」

間に合って良かった。倒れかけている本人は、俺の腕の中で不思議そうにしている。

『雅貴さんが近い。ふふ。』

「酔っぱらいめ。」

態勢を整えて腰を支える。腕を肩に回したいところだが、そうすると身長差で辛いかもしれないからな。

『紳士～。』

楽しそうな酔っぱらいとタクシーに乗り込んだ。

「お願いします。」

走り出すと、とても不満そうな顔がこちらへ向けられた。

『もう帰るの?』

「そうだ。」

『・・・やだなぁ。』

「何が。」

『・・・帰りたくない。』

お、そう来たか。

「それは良かった。」

『ん?』

「家に帰すわけじゃない。」

『本当!?』

「・・・近い。」

目と鼻の先に顔がある。

『家じゃないの?』

「あぁ。」

『ふふ。』

ご機嫌だと思ったら、ウトウトしはじめた。

「着いたぞ。」

『んあ?』

体を揺ると何とか目蓋を開けて動き出した。

「気を付けろよ。」

『歩けてるってば。』

仕方がないので肩を寄せた。

『ふふ、あったかい。』

猫のようにすり寄ってくる。

「はぁ・・・何してるか自覚あるのか。」

ドサッ

「ん?」

「・・・おいおい。」