【ツルネ】●溶け込むココロ●【滝川雅貴】 (ページ15)

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凄く不思議な先生。話し方というより・・・何て言ったらいいのだろう。

「俺は森岡先生に説得されてコーチをやっている。」

「一度振られておるが。」

「さっき、復讐だという話もした。」

「ほっほっほっ。呼び方や考え方は人それぞれだという話じゃ。」

噛み砕き方・・・いや、解釈の仕方が多いのかな。

「無理にとは言わん。ただ、声は掛けたかったんじゃよ。」

『私、ですか?』

「あの子らに直接、礼をさせたいというのもあるが。」

『本当にお気になさらず。』

「風舞弓道部へ遊びに来てくれると、嬉しいんじゃが。」

私が・・・高校へ?

あの絶望した感覚が巡った。

「さて。ワシはこの辺りで失礼しよう。」

「もうですか?」

「滝川君、ありがとう。入枝さんと会えて良かった。」

「こちらこそ、お誘い、ありがとうございました。」

『ありがとうございました。』

「では、また。」

お見送りをして、続きを一気に飲む。

「おいおい、勢いが良すぎるぞ。」

『素敵な先生だね。』

「あぁ。」

『同じものを下さい。』

「あいよ。」

今日は何だか飲みたい気分。

「大丈夫か?」

『だめそうに見える?』

「いや、今は大丈夫そうだが。」

「あいよ。」

『ありがとうございます。』

貰った新しいものに口をつけ、半分程飲み干す。

『私はただ、突進していた。』

「突進告白のことか。」

突進告白を思い出すと恥ずかしい。

『それも含めてだけど。』

相槌も無く、ただ話を聞いてくれる。その青い瞳を見ていると、言葉が出てくる。

『今、目の前しか見えていなかった。将来とかこれからとか、この先、何ていう考えは一つも無くて。猪突猛進、それが私に当てはまる唯一の言葉。若い時なら青春で済んだけど、今もそれは変わらない。』

何も・・・変わっていない。

『じゃなきゃ、知らない土地に逃げるなんて行動は取らない。』

空になってしまったグラスは5つ目。