【ツルネ】●溶け込むココロ●【滝川雅貴】 (ページ14)

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ブブ・・・

スマホが鳴っている。・・・雅貴さんだ。

『はい。』

「家か?」

『うん。』

「飯は?」

『まだだけど。』

「出て来られるか?森岡先生が会いたがっているんだ。」

『それって・・・風舞の先生でしょ?何で私に。』

「だめか?」

『・・・ダメじゃない。』

「なら頼む。迎えに・・・。」

『まだ明るいし、迎えはいらないよ。どこに行けばいいか送って。』

「おう。」

送られてきた場所へ向かうことにした。店先に雅貴さんの姿が見えた。けど。

「人を待ってるんで。」

「えー。これから二件目行くんだけど、どっか行こうよ、お兄さん。」
「何なら、今から来る人も一緒でいいからさー。」

酔った女の人たちに話しかけられている。背も高いし、格好良い。そりゃ、モテるよね。

「お、来た。」

手、振られてるけど。

「えー彼女?」
「じゃあ、あの子も一緒でいいよ。」

笑われた。あの格好良い人に釣り合っていないことくらい、あの時から分かってる。

「悪いが一緒に行くつもりはない。さ、入るぞ。」

不満そうな女の人たちを横目に店に押し込まれた。

「おー、こっちじゃ。」

『はじめまして。』

「風舞高校弓道部顧問、森岡富男じゃ。」

『入枝Aといいます。』

優しそうなおじいちゃん先生。

「ささ、好きなものを。」

「座れよ。」

先生と雅貴さんを挟む形で座った。

『梅酒サワーを。』

「あいよっ。」

見られている。

『何?』

「今日は飲むんだなと。」

「おや、仲の良いことじゃな。」

出てきたもので喉を潤す。少し焼ける感じがアルコールを飲んいると実感する。

「入枝さん。お礼が遅くなって申し訳なかった。滝川君から話を聞いたんじゃ。合宿中、世話になったのぉ。」

『いえ。私は本当に何も。仕事をしていたのと変わりないので。』

「いやいや。陰で支えてもらっていたことに変わりはない。あの子たちはそのおかげで、合宿に集中することが出来た。」

支えに・・・私が?

『お手伝い、もっとちゃんと出来れば良かったのですが。すみません・・・私、』

「関わり方とは、直接だけではないんじゃよ。繋がりというものは。」

繋がり・・・。