【短編集】つきのみやこ【ツキウタ】

【桜庭涼太】サクラソウ幻惑物語 2 ページ33

モノクロになった世界


彼女の部屋に飾られた小さなサクラソウだけが


控えめにピンク色を主張している







「………結婚しようって、言ったのに」







フリーライナー、その言葉の解釈は結局わからないまま


触れたいよ幻想でも、だなんて、まるで今の自分の言葉で


振り払う哀しみが溢れても歌は届く、だなんて







「もう届かないでしょ…馬鹿」








自分の死を予測していて


そして俺宛てにこの曲を作ったのか


もしそうなら、なんて無垢で清廉で、









残酷なんだろうか



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



補足


彼女の作った曲とした甘き風のプリムラは、完全に彼女が涼太に向けて作った愛の曲です。ここに他意はありません。彼女はこの曲で、どんなに辛いことがあっても、どんなに二人の心が離れそうになっても、最終的にはいつだって二人は一緒だよということを伝えたかった、彼女的には本気でプロポーズの曲。いつだってどんなに険しい道だって、お互いのことを思えば進んでいけるし、2人歩んだ道はいつだって美しい思い出になるよっていう明るい意味。『触れたいな幻想でも』の意味としては、幻想の君にでも触れたいくらい大好きだよ、離れたくないよ。もしくは、夢の中に出てきたようなキミにだって触れたいよくらいの意味。


この愛の詰まった曲を桜庭涼太に送るつもりで
でも突発的な病気かなんかで送る前に死んでしまいます
そして彼女が死んだあと、
彼女の部屋で桜庭涼太はこの曲を聞きます




そして、こうなったと。




まぁはやりの解釈違いとかいうものですよね(ちがう)

ラストはやっぱり、彼女が死ぬ前に書いた手紙的なもので

本当に込められていた意味を桜庭涼太が知って涙するっていうのを考えました

その後世間に公開する甘き風のプリムラは、桜庭涼太が少し歌詞に手を加えた曲

ごめんな衛くん手柄奪って




Free Liner 愛の歌
誰よりも 咲き誇る
Primula どこまでも
歌は届く きっと
Free Liner



この想いに最後はない
貴女がつくったこの歌で
俺は誰より大勢の人を笑顔にできる
そして誰より綺麗に歌い上げてみせる
初恋の、俺の自慢の恋人へ
きっとこの歌が、この想いが、
隔たりなんて関係なく、貴女に届いていますように





プリムラ[Primula]

和名：桜草[サクラソウ]

花言葉：『少年時代の希望』『初恋』など






あと、涼くんに、……バカ、って言わせたかった(台無しなこと言うな)

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