幻影旅団の孤独なお嬢様【リメイク！】

Ｄａｙ５ ページ7

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「言っとくが、オレはガキの世話(せわ)をするのも、遊び相手になるのも願い下げだからな」

「おにいちゃんは、わたしのこと、きらい？」


団員たちに向かって怒号(どごう)を上げるフィンクスの前に、いつの間にかダリアの姿があった。
元からその場にいたのだから、この会話の一部始終は漏(も)らさず聞いていたことくらいフィンクス以外の誰もが容易(ようい)に想像できるが。


「いや、別にキライってわけじゃねえけどよ」
「でもおにいちゃん、おこってる。こわい」


自分より幾分(いくぶん)も小さな少女にそう言われ、フィンクスは居心地が悪そうに目を逸(そ)らした。
ダリアがフィンクスに手招きをすれば、彼は怪訝(けげん)な顔で少女の目線の位置まで腰を下ろした。

「わらって」

唐突にむにっとフィンクスの口と頬の間、その両端を持ち上げると、少女は言った。


「“えがお”がないとね、ひとはしあわせじゃないってだれかがいってた。わたしはおにいちゃんのことすきだよ。だからわらってね」

にこりと天使かと見まがうような笑顔をフィンクスに向けたダリアは、彼の口から指を離し、自分より大きくて重いその手をとった。暖炉の火に当たって熱を持った少女の手は、冷たい彼の手をじんわりと温める。
フィンクスは、照れ臭そうに頬を赤に染めた。


「まあ、二、三年くらいなら面倒(めんどう)見てやるよ」



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