Day31 ページ33
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「フェイタンはどうだ」
「港近くのホテルに泊まってるらしい。地図が送られてきたから待ち合わせはそこのロビーになった」
「そうか。……ついたぞ、展望デッキだ。怪しい船はあるか」
一度船の上層までやってきたクロロとフィンクスは、クルーザーの上から海を見渡した。海のど真ん中はだいぶん暗かったが、これだけ大きな船ならば照明も強い。すぐ近くまでやってきているとすれば、それは敵を見つける好機だ。
「前方にそれらしい船は見当たらねえな……」
「そうだろうな、ハイジャックが目的でなければ、真正面から堂々と見える場所に船を停めるわけがない」
後方を探そう、そう言って駆け出したクロロにフィンクスも続く。
(ったく、ガキが視界から消えた瞬間これか)
フィンクスの思ったそれは、ダリアの存在が盗賊としての無情なクロロを奪っていることだと言えた。
まだ二十も過ぎた頃。クロロの心にも、まだ非情になりきれていない節があったのだ。
「……そんなに大事かよ、あんなガキが」
「ん、フィンクス、なにか言ったか?」
「いいや、なんでもねえよ」
クロロのそんな感情は、フィンクスには理解できなかった。無論、彼にも人の心はある。だが自分がそういった立場になったことがないというそれがフィンクスの人生経験に影響していたのだ。
それは他の団員たちにも言えることであり、団員たちから見れば、クロロは随分変わって見える。
「フィンクス、あれを見ろ」
「ん?」
客船の後方、遥か遠く。
暗い海に最低限の光が灯された船が同じ速度で移動しているのが二人の目に捉えられた。
「随分立派なボートじゃねえか」
「その下もだ。同じ形のものがこの船に寄せてある。──あの場所に、ダリアが……」
呟いた瞬間、クロロはそのボート目掛けてデッキを飛び降りた。スーツが翻り、十数メートルもある高さを勢いよく落下してゆく。
──ダンッ!
衝撃で揺れるボートの上でも瞬間的に体制を整え、船の照明にキラリと光るナイフを取り出し、その場にいた船員らしき青ジャケットの男をまず一人、二人と首を掻き切った。
クロロは、返り血を浴びた美しい瞳をギラつかせて言う。
「──”娘”はどこだ」
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フランクリンのピアス
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枢木 海里(プロフ) - ありがとうございます!まだまだ展開も文章も拙いものですが、そう仰っていただけて嬉しいです。これからもどうぞよしなに! (2017年8月23日 21時) (レス) id: 5ebcb79001 (このIDを非表示/違反報告)
朔間凛月葉(プロフ) - この作品とっても面白いですね!!!!!!!!!!見た瞬間ハマってしまって……と、とにかく面白いです!!!!!!!!!!これからも作品の更新頑張ってください(〃・д・) -д-))ペコリン楽しみにしてます! (2017年8月23日 11時) (レス) id: 5b4086ff03 (このIDを非表示/違反報告)
枢木 海里(プロフ) - 物部さん» ありがとうございます!そのお言葉だけで更新を頑張っていけます....!またいらしてくださいね! (2017年4月1日 14時) (レス) id: 7b14694aa6 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます! (2017年4月1日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海里 | 作成日時:2016年11月27日 23時