プロローグ 全てのはじまり ページ2
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深い密林の中を歩いていた。
……男はふと、歩む足を止め辺りを見渡す。小さな子どもの声が聞こえた気がしたのだ。
闇に覆われた森を見渡してみても民家などは当然存在しない。男の持つ松明の灯りだけが、
「団長、声が聞こえるような気がするんだけど。アタシの気のせい?」
確かに自分にも聞こえる。
「こっちだ」
仲間たちに目配せをして草木を分ければ、背丈程もあるそれは幾度となく行く手を阻む。ひとつ、またひとつ、木々の茨は男の手に浅い傷を残していった。
身から血が滴る。だがそれも構わない。
しばらく歩みをすすめると、一本の巨大樹の下に辿り着いた。……すぐ近くに川も流れているようだ。
「キミは?」
飛行した蛍がなにかの先端に腰を下ろす。淡くほのかな灯りは、金色に光を反射するそれの場所を示すのに十分であった。
男は、目の前の少女に問いかけた。
「家族とはぐれちゃったのかな」
今度は少女の目が男を捉えた。
茶の眼球が松明の炎を映し出すと、少女は怯えるように尻を地面につけたまま後退りする。
「だれ」
「怖くないよ、たまたまそこを通りかかったんだ」
「いや、」
少女は伸ばされた手を必死によける。しかし決して手を出して振り払おうとはしない。
ただただ、触れられることを恐れ、手をかわし続けた。長い草木はまるで、少女を守るかのように茂る。
男はほとほと困った。すると、仲間のもうひとりが後ろから前に進み出た。
「団長、それ」
仲間の青年が指さすのは、彼の頭部だった。
ハッとあることに気が付くと、髪を手のひらでくしゃくしゃと乱す。
「声色を変えても、その格好じゃこわいですよ」
金髪の青年はそう言うと、男を制して少女の前にしゃがみ込んだ。
「オレはシャル」
「しゃ、る」
「そう」
少女が“シャル”と呼ばれた青年に返事をすると、団長と呼ばれたその男は納得がいかないようにその様子を眺めた。
「わたし、は……ダリア」
「ダリアか、いい名前だね」
少女は
ボサボサで土や植物の葉が付いた頭に手を置いても、少女は動じない。
こうして少女は何の縁か、彼らに拾われる身となったのである。
それが、この物語のはじまり。少女がこれからなにを思い、なにを求めるのか。
それはこれから語られる物語の中でお教え致しましょう。
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フランクリンのピアス
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枢木 海里(プロフ) - ありがとうございます!まだまだ展開も文章も拙いものですが、そう仰っていただけて嬉しいです。これからもどうぞよしなに! (2017年8月23日 21時) (レス) id: 5ebcb79001 (このIDを非表示/違反報告)
朔間凛月葉(プロフ) - この作品とっても面白いですね!!!!!!!!!!見た瞬間ハマってしまって……と、とにかく面白いです!!!!!!!!!!これからも作品の更新頑張ってください(〃・д・) -д-))ペコリン楽しみにしてます! (2017年8月23日 11時) (レス) id: 5b4086ff03 (このIDを非表示/違反報告)
枢木 海里(プロフ) - 物部さん» ありがとうございます!そのお言葉だけで更新を頑張っていけます....!またいらしてくださいね! (2017年4月1日 14時) (レス) id: 7b14694aa6 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます! (2017年4月1日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海里 | 作成日時:2016年11月27日 23時