第14話_01 ページ34
俺は台に魔族を寝かせて改めて魔族の凄さを思い知った。一番最初に杭を抜いた、手の甲の傷が、完全に治っていた。人より高い魔力。圧倒的な力の壁。こいつと戦うとなったら俺は後ろを振り向かずに真っ先に逃げるだろう。一つの傷の治りで俺がここまで恐怖するなんて思わなかった。そんなことを思いながらも太もものところを縛っていた紐を解いて、順番に傷薬をかける。消毒してもいいが、ここにはそのための器具がない。中途半端にしても良かったが、それは、俺のプライド的な何かが許さない。そのため、魔族には悪いが消毒はしなかった。
少量の傷薬をかけただけでこうも治りが早いと気持ちが悪いな……。さすが魔族……。
しかし、これで一通り治療し終わったわけだが……。こいつ、目を開けるのか？
顔色も少しだが回復した。残念だが、体と離れた腕はどうも出来なかったが……。それでも、一番最初の状態よりマシになったのではないだろうか？
そう思うのは俺だけなのだろうか……。それとも、魔族は俺たちと違うのか……。不思議に思うところである……。
「……終わったんですか？」
突然隣から声が聞こえた。反射的に隣を見るといつの間にか羽海が杖をしまって、竜の子を大事そうに抱きかかえていた。
「なんとかな。でも、目覚まさないんだよな……。あと、堅苦しい話し方すんなって何回言えばいいんだ？」
「え……あと、2週間は言ってもらわないと……」
「は！？2週間！？おいおい、勘弁してくれよ……。2週間後ってお前が俺のところに来てから１ヶ月経つぞ？」
「いや、でもそれくらいしないと親しいとは呼べないと思いまして……」
「親しいって……2週間、同じ屋根の下に住んでて何言ってんだよ……」
「同じ部屋で過ごしてましたね……たった1日前のことなのに懐かしい気がします……」
「ああ、そうだな……って、お前、遠回しに俺の家が小さいって言いたいのか！？」
「え？いや、そ、ｿﾝﾅｺﾄﾅｲﾃﾞｽﾖｰ」
「うわ……腹立つ……」
そんなことを言いながらも、俺は笑顔でその場に座り込んだ。羽海もニッコリと笑って俺の隣に座る。
「キュー」
ようやく俺にも慣れてきたのか、羽海の腕の中にいる生き物が嬉しそうな声で鳴いた。その声に羽海は優しそうな懐かしそうな顔で腕の中にいる生き物に笑顔を向けていた……。
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月緋鈴(プロフ) - 黒羽さん» あ、言われてみれば「注ぐ」ではなく「盛る」ですね。指摘ありがとうございます！ (2014年1月17日 18時) (
レス) id: ffd19b2f3d (このIDを非表示/違反報告)
黒羽(プロフ) - とても面白い作品を書いてくださり、ありがとうございます。とても面白かったです。まあ、強いて言ってしまいますと、ご飯は注ぐものではなく、盛るものという事だけでしょうか？これからも頑張って下さいね！ (2014年1月16日 18時) (レス) id: 8545d7a4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月燈 鈴 | 作成日時：2013年12月30日 20時
