煉獄さんside ページ42
「今夜は俺の相手をしてもらえるか？」
花魁姿のAは 驚く程、艶やかで美しかった。
Aの座敷に通されたとたんに「炎柱様…よかった、よかった…」と泣きじゃくる。素直に感情を表現するのがAらしい。俺の着物に白粉がついたと慌てふためく姿も、湯飲みを取り合う際の真剣な顔も愛らしい。父上を平手打ちした時は、どんな顔をしていたのだろう。怒った顔も見てみたいものだ。
そして俺の目に気づくあたりは さすがに鋭い。
Aから調査状況を聞く。人を喰えば、血の始末も必要だ。まさか自分の部屋ではできまい。どこかに別の部屋があるのではないか。さらに昼間に複数の店を移動するのであれば日の当たらない地下のような場所に通路を作って複数の店を移動しているのではないか。
Aの表情が変わる。
Aは宇随に手紙を書き鴉に託す。不馴れな場所で生活しながらの任務、疲れていたのだろう。とても眠そうだ。
「炎柱様、あの…これ…。良かったら使って下さい。お店の子と作ったんです」
おずおずと何かを差し出す。組紐だ。俺は結わいていた髪紐をほどく。
「A、結ってもらえないか？」
男の髪に触れたことがないのか、指先から緊張が伝わってくる。それでよく遊郭に潜入したものだ。
髪を結わいた後
「炎柱様、明日から機能回復訓練ですよね。今日は もうお休みになって下さい」
病み上がりの俺を気を使ってくれているのだろう。
「君も昼夜、気を張って疲れているだろう。少し休ませてくれと宇随から頼まれているのだが」
生死を彷徨ったとはいえ、しばらく眠っていた俺だけ寝るわけにはいかない。
「あ、私は まだ寝なくて大丈夫です！」
よもや！大丈夫なものか。宇随に手紙を書いていた時、眠そうにしていたぞ。Aの「大丈夫です」は強がりだろう。
布団が一組しかないため、戸惑っているのだろう。本当に、これでよく花魁として潜入できたものだ。
「それでは、体が休まらないぞ。いっそのこと一緒に寝るか」
「はぁぁぁ？？無理です無理ですっ！大丈夫ですからっ！！」
「君は頑固だな。ならば、少し強引にいこうか」
Aを布団へ引きずり込む。流石にやり過ぎか。遊郭という場所がそうさせるのか。
「ちょっ、ちょっ！何するんですか？」
眠れないという表情をしていたが、相当 疲れていたのだろう。そのまま眠ってしまった。眠れないのは俺の方だと思いながらも思わず抱き寄せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫巻(プロフ) - 桃平さん» 桃平様！うれしいコメントありがとうございます(^-^)煉獄さんは とにかく「かっこよく」「真っ直ぐに」を心がけてます！この先も楽しんでいただけると うれしいです( ´∀｀) (2021年7月6日 19時) (
レス) id: 509f8c3526 (このIDを非表示/違反報告)
桃平(プロフ) - ここまで楽しく読ませていただきました(*^^*)煉獄さんの気持ちが抑えられなくなってきている様子、ニヤニヤしながら読みました。弐と参もこれから時間のあるときに読み進めたいと思います！猫巻さんの文章、ことばの使い方、大好きです。応援しています(*^_^*) (2021年7月6日 10時) (レス) id: 338e350c4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫巻 | 作成日時：2021年6月8日 22時
