宇随天元様1 ページ3
15歳の 冬の日、父からお使いを頼まれた。
「女学校の帰りでいいのだが、隊士様の治療に必要な薬を買いに出てくれないか。ただ暗くなる前には必ず帰ってくるんだよ」
その日は 女学校が少し遅くなってしまったが、何時 隊士がいらっしゃっるか分からないため早いに越したことはないだろうと思い 薬問屋へ立ち寄った。
冬の日は短い、帰り道を急いでいるのだが こんな時に限って人力車も馬車もなかなか捕まらない。家にたどり着いた時分には 辺りは すっかり暗くなっていた。
「ただいま戻りました」
家の中から返事がない。暗い。いつも炊いているはず藤の香の匂いがしない。
なぜ…
草履を脱ぎ 家に入ると 鬼が父を喰らっていた。
「お、一番 旨そうなのが自分から喰われに来たのか。へへへ」
そう言って跳びかかってくる鬼。
どうしよう…そうだ 隊士様が教えてくれた『呼吸』。たくさん息を吸って、血と筋肉を暴れさせる。刀は？隊士様の刀はないけど、納屋に鉈がある。少しでも傷をつけて時間稼ぎをしてる間に逃げるしかない…
無我夢中で 思い付いた通りに動いてみた。その時 自分でも信じられない程の力が出て 鬼の首、手足を切断した。
でも再生したら 殺られる！切り続けるしかない！朝まで逃げ切れるか？
切っては再生されを数度繰り返すうちに 私の体力は尽きた。
このまま 喰われるのか…
そんな時、突如 轟音と共に鬼の首が吹っ飛んだ。
とても大きな派手な隊士様だった。
「藤の紋の家が襲撃されたって来てみたら、こんな別嬪さんが鬼と殺り合ってたとはな！この家の娘か？よく頑張った！呼吸使えんのか？派手に たいしたもんだ！」
「助けていただき、ありがとうございます」
「他の家族は？」
「母が出掛けていますが 数日で戻るかと思います」
「俺は鬼殺隊 音柱 派手を司る祭りの神、宇随天元様だ。落ち着くまで俺の家に泊まるか？」
「はっ！？いや いくら命の恩人とはいえ、知り合ったばかりの男の人の家には行けません。しかも神？？人間ですよね…」
「家には嫁が3人いるから安心しろ。こんな鬼に壊された家に小娘置いてくるようなマネはできねえよ」
嫁、3人？？どういうことだ？よく分からない？？
確かに 今夜は一人で過ごすのは怖い。この方の好意に甘えよう。
「文句ねえな」
そう言って 宇随天元様は私をヒョイと小脇に抱え、風のような速さで屋敷へ戻ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫巻(プロフ) - 桃平さん» 桃平様！うれしいコメントありがとうございます(^-^)煉獄さんは とにかく「かっこよく」「真っ直ぐに」を心がけてます！この先も楽しんでいただけると うれしいです( ´∀｀) (2021年7月6日 19時) (
レス) id: 509f8c3526 (このIDを非表示/違反報告)
桃平(プロフ) - ここまで楽しく読ませていただきました(*^^*)煉獄さんの気持ちが抑えられなくなってきている様子、ニヤニヤしながら読みました。弐と参もこれから時間のあるときに読み進めたいと思います！猫巻さんの文章、ことばの使い方、大好きです。応援しています(*^_^*) (2021年7月6日 10時) (レス) id: 338e350c4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫巻 | 作成日時：2021年6月8日 22時
