作り笑いが２９ ページ31
Aside
自室に戻って隅に座り込む。体育座りして顔を膝に埋めた。
先程のことだ。神様にましてや男の人に逆らってしまった。その後どうなるかなんて理解している。
殺されるのだ。
さぁぁ、と血の気が引いてき、頭の中が昔の記憶で埋め尽くされる。
『約立たず！役立たず！！お前のせいだ！お前の！！』
声が聞こえる。そんな罵倒の声。怖くて耳を塞ぐけれどそれでも声が聞こえてくる。
｢これは、幻聴、これは幻聴、｣
そう唱えながらただ声が聞こえるのを耐える。いつもそうだ。こうやって1人で耐えてきた。どんなことも我慢して言うことを聞いて。都合が悪くなったら平気で嘘をついて。
だって、だって、自分をそうやって守るしかないから。
｢ふっ、、…うぅっ、…っ…｣
涙が出てきて声殺した。だって叩かれるんだもん。
暗闇から手が伸びてきた。あの人が来てしまった。あの人が私を叩きに来たんだ。
｢いやっ、｣
その手を叩くことも追い払うこともせず、否定の声が出た。その手は私の左腕を掴んでいる。
｢ごめん、なさい、逆らってごめんなさい、ごめんなさい｣
謝罪の声が自然と出てくる。それでも何も言ってこないから怒っているのに気づく。頭を床にこすりつけてもっと謝った。
｢ごめんなさい、ごめんなさい、許してください、私は、私は、ただ、｣
｢…！！、、！！｣
｢怒るつもりじゃなかったんです、！ごめんなさい、生意気なことを言ってごめんなさい｣
顔をあげることも出来ない。顔を上げたらきっと叩かれるからだ。痛いのは嫌いだ。なのに左腕に痛みは感じられなかった。
｢…叩かないで、…もう、もう、言わないから、お願いします、ごめんなさい｣
小さくそう言うと左腕は離された。次は胸ぐらを掴まれるんだ、と覚悟していると誰かに抱きしめられる。
加州｢主！俺だよ！加州清光だ！！｣
そう声が聞こえた。
彼は加州清光。私の初期刀だ。
頭の中でそう整理した。
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作者名：一ノ瀬ミルク | 作成日時：2022年9月18日 0時
