作り笑いが１ ページ3
Aside
この発端は数日前の話。
『2ヶ月後に審神者の任から外れてもらいたい』
そう政府の人間から言われた。
一応私の担当である宮本さんは悔しいんだか悲しいんだかよく分からない表情だった。
｢……えっと、理由を伺っても？｣
『あなたを政府の人間として迎え入れたいからだ、だそうです』
｢なるほど｣
彼はそう言って熱いお茶をごくごくと飲む。一気に行ったのに涙を流していた。
『こんな、こんな、身勝手な理由でぇ、あなたと刀剣男士との絆を台無しにしてしまって、本当にすみません』
深々と宮本さんは頭を下げた。私もお茶の一口飲んでお得意の作り笑いを見せた。
｢いいえ、宮本さんのせいではないでしょう｣
『Aさん、、、』
｢そんなに悲しまないでください、私は政府の人間になったっていいと思っていますし｣
『えぇ！？』
宮本さんは驚いてバンッ！とテーブルを叩いた。
私はお構い無しにお茶をまた飲む。
『い、いいんですか、だって、、』
｢かまいません、刀剣男士様には私から言っておきます｣
『それは有難いですが、もし気が変わったらすぐに言ってください、こちらも返事はギリギリまでお待ち致しますので』
宮本さんは心配しているが私はそれでも良いと思っていた。
それより私は別のことをずっと胸にあって気持ちが悪い。
｢はい、なにかありましたらこちらからご連絡致しますね｣
『は、はい、Aさんは元々からあっさりしていましたが、ここまでとは』
｢私の取り柄です｣
宮本さんはお帰りになるらしく誓約書や何やらを私を渡した。
『では、2ヶ月後こちらに来ます、その時はこちらの記載をお願い致します』
｢分かりました、こんのすけ｣
ドロン、と言ってナビゲーターである管狐のこんのすけが出てきた。可愛らしい狐でありながら喋るため最初は私も驚いた。
｢お見送りしたいのは山々なのですが、まだ仕事も残っていますので、お見送りはこんのすけにお任せします｣
『お気遣いありがとうございます、Aさんの担当で私は幸せです』
｢ふふ、ではまた2ヶ月後に｣
よくお考え下さいね、と言い残して彼は行ってしまう。
彼がいえなくなるのご確認して部屋の窓を開けドアだけを閉めた。
｢……はぁぁぁぁ｣
脂汗が出てきて悪寒もしてくる。
｢…気持ち悪い…｣
その言葉が部屋に響いた。
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作者名：一ノ瀬ミルク | 作成日時：2022年9月18日 0時
