作り笑いが17 ページ19
Aside
山姥切国広に荷物を手伝ってもらい、そのまま洗剤などを置いてる部屋まで来た。洗剤自体がさほど多くは無いからものの数分で終わる。
お菓子も自分のものを取ったら後は山姥切国広に任せた。
「では、私は部屋に戻りますね」
山姥切「…主」
「はい?」
山姥切国広がそう私を呼んだ。私のことを呼ぶことなんてそうそうないがつい反応して振り向いてしまった。
山姥切「…本当にここを出ていくのか」
「…そのつもりです、まだお返事はしておりませんが」
山姥切「なにが嫌なんだ、ここにいる奴らは皆、あんたを慕っているのに」
そんな声は聞いたことがない。話したこともないから当然だけど、顔の表情なんて、ほとんど変わらない彼。
関わってこなかったこともあって私は彼の言葉に行動に驚かされる。
「…私たち審神者は政府の方、そして皆様がいてくれたことで成り立つ者、どちらも大事にしなくてはならない」
山姥切国広は私を見ている。目が合っていることなんてほとんどないのに。
「だから政府の方の命令は聞かなくてはならないんです」
山姥切「…そうか」
山姥切国広は私と反対方向へと歩いて行ってしまった。姿が見えなくなって急な胃のムカムカがあった。気持ち悪くなった。
変な情はかけない方がいいと毎度勉強になる。学習しないのは私の中にある油断がそうさせるのだろう。
早く部屋に戻って行った。窓を開けて外の空気を吸うと気持ち悪さもなくなってきて、心に落ち着きができた。
「はぁ、やっぱり長くいるのはきつい」
さっきまで食べようと思っていたお菓子は食べる気にはならなくなって机に置いた。
そういえば、彼らと出掛けるなんて初めてだ。
それくらい私は彼らに信頼を置いているのかもしれない。結局気持ち悪くなってしまったけど。
体調が戻ってきたところで残っていた仕事を始めた。
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作者名:一ノ瀬ミルク | 作成日時:2022年9月18日 0時