トリップ少女は奇術師の最愛の彼女のようです。●◇伍◇● (ページ23)

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翌日、またも彼女は廊下やロビーをぶらぶらと移動していた。

イルミの事はさておき、彼女は重要な試合(命的に)であるヒソカ船の戦法を考えていた。

当初はイルミを警戒して部屋に籠っていたのだが、煮詰まってしまい廊下に出ることにしたのだ。

理由はもう一つあったのだが。

ここの所、廊下に出ると必ずと言っていいほど人に出会う。

良くも悪くも、それは彼女にとって楽しいことであった。

そして、彼女は案の定知り合いに会うことになる。

「あれ、A！？」

聞いたことのある声。

振り返ってみれば、ハンター試験で別れを告げる暇もなくまかれてしまった友の姿。

「アカネ！？」

「お久しぶりっ」

「髪、切ったの・・・？」

「うん」

背中の中ほどまであった髪は、ボブというべき長さになっていた。

緩く巻かれたそれや、ベビーピンクと白で統一された格好は女の子そのものだった。

「うっわぁ・・・女子力高っ」

「何言ってんの、彼氏持ちが」

！？

「アカネに言ったっけ？」

「知るも知らぬもここじゃすっごい噂だよ？あのヒソカとAは出来てるって」

マジか。

え、初耳なんだが？((

「ま、いっか。そだ、久しぶりだしお茶でもしない？」

そう言って誘ってくれたアカネに僕は賛成する。

――――――・・・闘技場近くの少しオシャレな感じのカフェに入る。

僕はブラックコーヒーを頼み、アカネはキャラメルマキアートを頼んでいた。

「ブラックコーヒーとかよく飲めるね」

「コレないと仕事できないもん」

僕の仕事は主に夜中に行われる。

夜の闇が都合がいいのと、相手が眠っていたりするとすこぶる遂行しやすいからだ。

そのためのカフェイン摂取元が、コーヒー。しかもブラック。

そんな他愛ない会話の中で、僕は先日から気になっていた事を話した。

「実はさ、最近同じ夢を見るんだけど」

「へぇ、どんなの？」

キャラメルマキアートを啜る彼女に、僕は鮮明に覚えているアノ夢の事を話す。

「なんかね、こう・・・まぁ僕の仕事の犠牲になった人たちに僕は囲まれてるんだよね」

「うん」

「それで、助けてって言おうとするの」

「ほぅ？」

何とも適当な返事ではあるが、目の前の彼女は真剣な表情で聞いていた。

「そしたら、その人ごみの中から・・・僕のお母さんに似た人が、近付いてくる」

「・・・。」

黙って、返事すらしなくなったアカネに少し動揺が見えた。

僕はそれに疑問を感じたが話し続ける事にした。