トリップ少女は奇術師の最愛の彼女のようです。●◇伍◇● (ページ15)

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動けない僕に、サダソの拳が降ってくる。

やはり、遅い。

最小限の、取れる限りの身じろぎでそれをギリギリ掠る程度まで避ける。

しかし、ビッという音が響く。

「クリーン！！」

「おぉっと、A選手どうしたー！？先制はサダソ選手の様ですっ！！」

サダソが使っているのはおそらく具現化と操作系の複合技。

具現化した左手を操作して動かし、相手をとらえる。

しかし具現化と操作は離れた位置にある。

対局とは言わないまでも、片方の習得率は高くても６０％が限度だ。

まして具現化系や操作系でないのだとしたら、尚更念の精度は落ちる。

そして、オーラの消費も激しい。

「バカだね」

「なんだと？」

二、と笑った僕はサダソに考え付いたすべてを語る。

おそらく彼は具現化系だろうと踏んで。

「貴方、具現化系でしょ？」

「っ、それがどうした」

図星を疲れた彼は、悔しそうな顔をする。

そして、その顔に僕はますます笑みを増す。

「あーあー。だってこの技、操作も使うでしょ？」

「そうだ！凄いだろ！？」

急に開き直った彼に、追い打ちをかける。

「勿体ない。貴方、そんなにオーラの絶対量が多いわけでもないしさぁ。そういうの・・・」

少し長めのおしゃべりで、どんどん精度の落ちていた技を破る。

弾けた視えなかった左手は、消えてなくなってしまう。

「メモリーの無駄使いって言うんじゃない？」

バ、と走り出した僕の勢いに反応しきれなかったサダソは立ちすくんでしまう。

動けない彼に手刀をたたき込む。

「ぐっ・・・！！」

ズササ、と僕の手刀でサダソは後ろに飛ばされる。

「クリティカル、２ポインツ！！」

おぉおおおおと歓声が高く響き、会場は盛り上がる。

「A選手、決めたー！！！これで形勢逆転ですっ！！！」

殴られた肩をパンパンと払い、構える。

「どうしたの？僕はまだ能力どころか念さえ使ってないよ？」

「・・・・っ！！」

本当にバカなヤツ。

こんな挑発に乗るだなんて。

「う、うわぁあああああああああああああああああああああああ！！！！」