【ミカグラ】造花の上で踊りましょう (ページ19)

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19.大掃除ページ19

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ルーキー戦1回戦、私は花袋ちゃんを見事破り勝利を収め終えた。

「Aちゃん見てくれてたかな…」

あの後ビミィから風邪で休みと聞いてほっとした。

シグレが言っていたことも気になるけど、今は目の前の課題をクリアしなくちゃ…！

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『…あった』

ビミィ先生が去った後、私は散らばったこの部屋を片付ける事にした。

ルーキー戦で当分はこの部屋から出ない、する事が無いから仕方ないのだ。

私が手にしたのはホコリを被ったカメラ。思い出した記憶の中で前の私が宝物としていたものだ。

『確か、年末のセールとかで安くなったのを貰ったんだっけ…』

バッテリーは勿論切れていて、今は中身を確認することが出来ない。

『…電源プラグは確か同じ場所に置いてたような』

案の定すぐ近くの箱の中に入れてあり、私は充電を開始した。

『大分片付いた！』

ディスクで覆い隠されていた床を一年ぶりに見た気がする。

割れていたディスクは袋に一纏めにして保存し、状態のいいディスクはディスクケースに入れて収納した。

他にも眼鏡や弓道の道具も色々出てきて、あーこんなの持ってたなと思いつつ掃除をしていたらもう日は落ちていた

『エルナちゃんから結構メール来てる』

無事勝ち進んでいるようでほっとした。後で録画の方見ておこう。

『充電そろそろかな』

タオルでホコリを綺麗に取り除いたカメラの電源を入れると、仄かな光を灯して起動した。

『二宮先輩ばっかりじゃん』

黄昏れる二宮先輩、女子に囲まれて困り顔になってる顔、はたまた部活をしている時の真剣な顔…

『こりゃ桜田くんにも勘違いされるよねー、前の私愚か』

それと同時に、私は真剣に曲作りをしていたのだと実感した。

二宮先輩からは複雑な音がする。それはたくさんの可能性を秘めたある意味レアな音色でもある。

私が作る曲は音をそのまま使うのではなく、その人の"物語"を奏でる。

二宮先輩の色んな表情を、1つの物語にするには写真はもちろん日々の話にも真剣に耳を傾けなければ彼の真意を知る事は出来ない。

『…あ』

その中に、1枚だけ私と桜田くんのツーショット写真が残っていた

1番最初の、このカメラでとる初めての写真がそれだった。

『幸せそう』

少しだけ名残惜しい手つきで、私は画面を撫でた。