15.素敵な恋の形 ページ15
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パシャッ
「…椎原さん」
『シグレ先輩こんにちは、今日も美男ですね〜』
「褒めてくれのはいいけど、写真撮るのやめてほしいな?!」
『安心してください、販売はしてないんで』
「じゃあなんで撮ってるの?」
『貴方が次の作曲対象だからです。少しでも何か感じるものがあればそれを曲にしたいんです!』
「へぇ…出来たら聞かせて欲しいな」
『アップするので聞いてくださいね!』
ふと撮影している所を見つかって以来、シグレ先輩とは仲良くなった。
桜田くんから貰ったこのカメラを使って人やものを撮るとインスピレーションがどんどん湧いて、いい曲が出来ていく。
「そのカメラ、桜田くんから貰ったんでしょ」
『な、何でそれを!』
「ふふふ、見てれば分かるよ!」
『シグレ先輩、しーっですよ!!』
「別に、彼に伝えればいいのに」
『…私のこの思いは伝える為のものじゃないんです。』
「?」
『この心の中で想う時が、一番幸せで無くしたくない時間なんです。もし伝えて彼との時間が壊れてしまったら嫌ですし』
私が彼の隣で笑う義務は無い。ただ、彼が幸せならそれでいい。
「素敵な恋だね」
『そうですか?』
「僕もそんな恋がしたいなぁ!」
『従姉妹さんにしてるじゃないですか』
「…確かに幸せであってほしいけど、まだ僕は彼女の隣に居たいと願ってるからなぁ」
『…それもそれで素敵ですけどね』
こんな他愛もない話をするのも多くなった。
最近ではもっぱら恋愛話ばかりだけど。
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こんな楽しい日々が続けばいいと思っていた。
「そろそろ帰るか!」
『うん、そうだね!』
いつも通り部活の練習を終え、彼と肩を並べて帰る。
今日も他愛のない話をして、私は彼を想いながら。
「…なぁ、A」
『なに?』
「俺さ、Aの事好きなんだよな」
『へ』
突然、彼から告白された。
彼も私のことを想っていてくれた事に驚いたし、何よりも嬉しかった。
「…でも」
『?』
「でも、Aはシグレ先輩の事が好きなんだよな」
『え、私そんなんじゃ』
「言われなくてもわかってるんだ、何かごめんな。俺も何が言いたいのか分かんなくてさ…」
『ねぇ桜田くん聞いて…ッ!』
私が桜田くんに触れると何かが私の手を叩き落とした。
「!A!」
『いたた…』
彼の身に起こったのは、能力の暴走だった。
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作者名:藤宮 | 作成日時:2018年3月3日 17時