12.朝 ページ12
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「…あ、本当だ」
寮に帰り、僕は姉妹校での記事をインターネットで調べてみた。
弓道部期待の2人 一体何がと書かれた見出しに、笑顔でトロフィーを持って笑う桜田くんと椎原さんの写真が共に載っていた。
2人はいつものように部活の練習した後、寮に帰っていた所、何を思ったのか桜田くんが椎原さんに模擬戦を仕掛けた。
椎原さんの能力は攻撃向けでは無く、すぐに負けたが桜田くんは必要以上に彼女を痛め付けた。
それを通行人の先輩に見られその場で拘束。
桜田くんは記憶を完璧に消され退学処分。椎原さんは怪我はそれ程酷くなかったが精神的に深い傷を負い、不登校になる。
彼女は自分の能力で桜田くんとの記憶、姉妹校での記憶を全て取り出し自分の人格さえも切り捨てたらしい。
「…僕を覚えていない訳だ」
中等部では親友であり、信頼関係であった2人の思わぬ亀裂と事件で、当時同じクラスだった子達は信じられないと取材に答えていた。
「桜田くん、もしかして椎原さんに恨みでもあったのかな」
桜田くんは記憶を消されどこにいるかも分からない今、真相は知る事が出来なくなった。
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「Aちゃんはルーキー戦誰とだった？」
『私は別のクラスの人でした！エルナちゃんは？』
「私は花袋ちゃんと！頑張ろうね！」
『はい！』
不参加、とは言ったが疑われると面倒なので取り敢えず名前は入れてもらった。
当日風邪か何かで休んで対戦相手には不戦勝をプレゼント作戦だ。
「今日は何食べようかな〜」
「エルナは決められるほどポイントを持ってるりゅいか？」
「うっさいな！その時はビミィのポイント奪うし！」
「犯罪だりゅい！！！！」
『うふふ』
エルナちゃんと私の寮は違い、朝は朝食を一緒に食べに行くために噴水前で待ち合わせをしている。
エルナちゃんに付きっきりのビミィ先生が同席することも少なくは無く、よく3人(？)で食べに行っている。
「この時間が1番空いてていいよね〜」
『テラス席もお昼の時間帯は座れませんもんね〜』
朝の空気と朝日が美しく見えるテラス席は私達の特等席だ。
「フレンチトースト美味しい〜！」
『バターとメイプルソースの絡みもバッチリです！』
この学園の食堂のメニューはとても美味しいことが最近わかった。引きこもって食べなかった私を恨むほど。
「おはよう、2人とも」
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作者名：藤宮 | 作成日時：2018年3月3日 17時
