紫紺の瞳 ページ10
「ど、どうした……？」
ナワーブさんを視線で威圧すると、エマちゃんは更に目付きを鋭くして言った。
「Aは１回人に渡してもらったけどイソップ君は返事も挨拶にも来なかったの。このままだとAが可哀想なの！だからきちんと返事をしておけって渡す時に圧力をかけといて欲しいなの」
今のエマちゃんの顔は鬼の様に険しくて怖い。
それって脅しなのでは？という突っ込みさえ出来ない。
それで胸ぐらを掴むような勢いで言うから、ナワーブさんは首を縦に振る他なかった。
「わ、分かった」
「分かればいいなの！」
ぱっと天使の様に微笑むエマちゃん。女優並みの切り替えだ。
「パパがこんな素晴らしいプレゼントのお手伝いをしてくれた方が不憫な思いするならその相手を説得しに行くって言ってたなの」
私に向かい合って軽やかな口調で言った。
「お花を贈った相手はお父様だったのですね」
「そうなの！ハンターやってるなの！」
果たして説得は脅迫に姿を変えたりしないだろうか。
「普段は優しいパパだけど怒るととっても怖いなの。ナワーブ君、イソップ君にちゃんとお伝えしといてなの！」
キラキラとしながら何処か圧力を感じる笑顔。
それにナワーブさんは一つ脂汗を流して頷く。
「……あっ！そういえばエマ、次試合だったなの！じゃあまたなの〜！」
唐突に用事を思い出して直ぐに走っていく背中をナワーブさんと二人で見送った。
「て事だからちゃんと渡しとくから安心しとけ」
ナワーブさんはポンッと私の肩に手を置いた後、私の手から花を抜き取ってこの場を後にした。
そして一人、部屋の前で残される私。
「何だか頼みっぱなしっていうのも申し訳ないです……」
エマちゃんやナワーブさん、占い師さんのお礼も考えておかないと……。
「取り敢えず部屋に戻ろうかな」
◆
自分の部屋の前まで行くと、誰かが私の部屋の扉と睨めっこしているのが見えた。
留守にしている間、待たせてしまったかも。
「待たせてしまってすみません。何か御用ですか？」
赤紫色のフードを被って、綺麗な黒いドレスをふわりと翻した……えと、確か祭司のフィオナさんでしたっけ？は、私を紫紺の瞳に映すと、ぱあっと顔を明るくした。
そして、
「はっきりと答えて！貴女はイソップ・カールの事が好きのか！？」
前置きも何もなしに発せられた言葉は再び私の顔に火を灯した。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
