またもやお留守 ページ9
「イソップに？だけどあいつは試合中だぜ」
あぁ……。本当にタイミングが悪い……。
がっくりと肩を落としていると、ナワーブさんはチラリとカーネーションを見た。
「その花、イソップにやるのか？」
「……あ、はい」
「ほーん。何、イソップの事好きなの？」
いきなり過ぎて顔に火が点った。
「え、えええ？」
「告白？」
ニヤニヤしているナワーブさんに否定の意を示すべく頭を横にブンブン振って、手をバツ印にする。
誤解されては納棺師さんとの少ないであろうお話の機会が更に少なくなってしまう気がした。
そして第一私が恥ずかしい。
「違います！！自己紹介が済んでいなかっただけです！！前にも伺ったんですがいらっしゃらなくて……。イライさんに伝言も頼んだのですが、お返事も来なくて……」
勢いに押されたのか、私が急に大声を出して驚いたのか、子供が見れば泣きそうなくらいにキツい風貌を緩めて、
「ごめんごめん。冗談だよ。本気じゃねーから安心しろ」
と眉を下げて笑った。
「一見弱々しいアンタもガッツリ否定する時はするんだな……。変な冗談言った詫びにその花、イソップのとこに届けてやるよ」
「え、そんな……、いいんですか？」
「ああ。男に二言はねーよ」
ナワーブさんはニッと頬を吊り上げた。
「ありがとうございます！」
そう頭を下げると、後ろの方からついさっき聞いたような声が近づいてくる事に気がついた。
「Aー！！ありがとなのー！！」
疾風のごとくこちらまで走ってきて、華奢な体を上下にさせるエマちゃん。
「お花、喜んで貰えたなの！Aのおかげなのー！」
言葉の途中で息継ぎをしながら紡がれる想い。
余程喜んで貰えたのだろうか。
自分でも頬が緩むのが分かった。
「エマちゃんの素敵な想いがちゃんと伝わったんですよ。私も嬉しいです」
「それでなの！パパが……」
エマちゃんは口早に何かを話そうとしたが、私の隣に立っているナワーブさんに気がついたのか、言葉を紡ぐのを止める。
「ナワーブ君、何でここに？……もしかしてA、本当にお花を渡したかったのって……！？」
私とナワーブさんを交互に見ながら動揺を露わにするエマちゃん。そんなエマちゃんにナワーブさんは溜め息を一つ着いて、
「馬鹿。ちげーよ。イソップが試合中で居なくて、たまたま俺が通りかかっただけ。んで俺が代わりにイソップのとこに花を届ける」
納得、と言わんばかりに頷いたエマちゃんは、じっとナワーブさんを見つめた。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
