ハーバリウム ページ49
あれから直ぐにウィラさんとヘレナちゃんの所に戻った。
二人ともとても私を心配していたらしく、何度頭を下げても下げ足りなかった。
二人はAが無事で良かったと笑ってくれたけれど。
そんなこんなでハーバリウム作りを再開して数時間。
透明だった瓶は色とりどりの花柄になった。
「出来ました！！」
無事、あのゲームの時の三人分ができた。それぞれのイメージにあわせて花を変えたので作っていて楽しかった。
その内の一つを手に取って何回転もさせる。
「綺麗すぎます……。どれだけ見ても飽きない」
「流石なの！とっても素敵なの！」
エマちゃんが横から私のを覗き込んだ。
「これならイソップ君もイチコロなの！」
急に納棺師さんの名前を出されて顔に熱が集中した。エマちゃんはそんな私を見て面白がる様にニヤニヤした後、
「折角だから、今から渡してくるといいなの！Aならいけるなの」
と、私の肩を叩く。
「えぇ、いきなり過ぎませんか……？」
「それはいい案ですねエマさん！」
「応援してるわよ」
「えぇぇ、ヘレナちゃんにウィラさんまで……！？」
「グッドラックなの！A！」
三人の勢いに押されて、部屋を出てしまった。手には納棺師さん用のハーバリウム。
出てしまったからには後戻りできない。
「行きますか…頑張れ私！」
腹を括って納棺師さんの部屋へ向かった。
◆
まぁ、案の定ですよね。
何度ノックしてもいつも通り返事が返って来る事もドアが開く事もなかった。
「はぁ……」
納棺師さんが居ないと分かると、緊張が抜けて疲労が襲ってきた。私は思わずドアノブに伸し掛る。
すると、ドアノブが下に動いた。
「へ……？」
驚いて素っ頓狂な声を上げながらも、ドアノブを引く。
すると、意図も簡単にドアが開いた。
「鍵が開けっ放し……？」
化粧品の匂いが私を包み、窓から入り込んだオレンジ色の光が彼の部屋を彩っている。
私は吸い込まれる様に扉の中へと入ってしまった。
質素な部屋で、机の上には大量の化粧品が綺麗に専用の入れ物に収まっている。
その横に、最も目を引くものがあった。
「日記……」
この荘園にいる者全員が書いている日記。
唾を飲んだ。
途端に好奇心が溢れてくる。
いやいや、駄目駄目。人の日記を読んだりなんて最低だ。だってこれには彼の過去が……。
知りたい。
好奇心は勝手にそのページを捲っていた。
――――ただ、そこに私が望んだようなものは書かれていなかった。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
