回想 ページ44
優しい祖母の温もりは、私の胸の奥の押し入れをこじ開けた。
奥の奥にしまい込んだ思い出がダムが放流したように溢れる。
思い出。それは――――――。
おばあちゃんが死んだあの日の事。
頭の中にそれを考えると、途端にガラスを叩き割ったかの様に目の前の景色も温もりも崩れ落ちた。
そしてその穴を埋めるかの様に現れたのはあの日の光景。
肌を容赦なく照りつける真夏の日差し。
中の荷物で大きく膨れ上がったビニール袋を両手に下げて、少女と老婆が道路の横を歩いている。
暑いね、帰ったら二人でアイスを食べようか、と提案する老婆と、それを聞いてはしゃぐ少女。
その和やかな光景に、悪魔が突っ込んだ。
突如、二人をはね飛ばさんと猛スピードで歩道に走行してきたトラック。
老婆によって一足先に吹き飛ばされた少女の体。
その反転する視界に映ったものは、後を追うようにはね飛ばされる自分の祖母の体と、真っ赤な華だった。
◆
神様は、帰ってからおばあちゃんと一緒にアイスを食べる事を許してくれませんでした。
なんで？
私が悪い子だから？
綺麗な血じゃないから？
学校から逃げておばあちゃんのお店に行っているから？
皆が私に抱く様な嫌悪を、貴方も私に抱いているのですか？
だから、私のおばあちゃんを殺したのですか。
ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない。
「ころしてやる」
「ちょっとA、何やってるの！？」
同じ質問と暴れて誰かに止められる事をただただ繰り返した。
毎日質問しても、誰も答えてなんてくれなかったし、毎日うらみ嘆いても胸中を渦巻くどす黒い感情は晴れることは無かった。
少し落ち着くと、いつもおばあちゃんがしてくれたの死後の話が蘇る。それを思い出していつも一人すすり泣いた。自分でも分かっていた。これがただの独りよがりだって事。
そんな時だった。
あの納棺師さんに再開したのは。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
