黄色い薔薇 ページ5
「えっ！？納棺師さん、薔薇を育てていらっしゃるのですか！？」
納棺師でお花を育てていて、しかもそれが私の大好きな薔薇の花！？
まだ話した事も無いのに、興味が更に湧き出てくる。早く仲良くなりたい！
「育てている？というか、携帯品かな？気に入っているのか常に身につけているよ」
そう聞いて視線を胸に落とした。私の胸にはいつも造花の赤いブローチが咲いている。
お揃い！共通点！
嬉しくなっているのを察したのか、イライさんは口元を綻ばせて、
「今すぐに会いたそうだし、彼を呼ぼうか」
と、目の前の扉をノックした。
よく見たら『イソップ・カール』とプレートに刻まれていた。
「ここ、納棺師さんのお部屋だったのですね…」
自分の部屋の前から自分の噂話が聞こえてくるってどういう気持ちでしょうか……。
申し訳ないと、謝罪の言葉を組み立てながら扉が開くのを待つ。
だが、イライさんが何度ノックしても扉が開くどころか返事すら聞こえてこない。
「……おかしいな」
そう言ってイライさんは頬を掻いた。
「今、ポッポちゃんいないし……うーん……」
小さな声で呟いて腕を組むと、そうだと呟いた。
「私がイソップ君に伝言しておこう」
「いいんですか？」
「ああ。存分に頼ってくれ」
そう言ってニッコリと笑った。
なら、お言葉に甘えようかな。
「じゃあ、お願いします！」
深く頭を下げて持っていたゼラニウムを突き出す。
「これを渡して頂きたいのと、あと良かったら文通でもいいのでお話しましょう、と伝えてください」
「分かった。私に任せてくれ」
そう言って片手で同意のサインをするイライさん。
この荘園、本当に優しい方ばかりだな、と噛み締めていると、そっと花を受け取ったイライさんが、じっとそれを見つめて言った。
「この花、なんて言う名前かな？」
「ゼラニウムと言います。クリーム色の様な黄色で、メジャーな赤色と比べると華やかさには劣りますが、とっても優しい感じで、私は好きなんです。花言葉も素敵なんですよ」
「黄色のゼラニウム……。確かに優しそうな花だ……」
じっと観察するイライさん。どうやら花に興味を持ってくれたようだ。
今日は嬉しい事が何度も起こって、素敵な日だ。私ばっかりこんな気持ちになって、いつかバチが当たってしまうかな。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
