ウィラ・ナイエル ページ40
「じゃ、ハーバリウム作り始めるわよ！」
気合いを入れて呼びかけると、おーっ！とこのテンションに乗ってくれるA達。
「A、ドライフラワーは出来た？」
「はい！此処にあります！」
Aは籠の中から瓶を取り出し、その中に入っている花を手際良く大きな紙の上に並べていく。
流石花屋と言った所か。色が褪せたり形が崩れたりして失敗しやすいドライフラワーをお店で売っていてもおかしくない程に仕上げたのだ。
花によって製作の仕方を変えているし、何も文句無い。
ふとAの隣で忙しなく作業する手をじっと見詰めていたヘレナが呟いた。
「ドライフラワーって少し大きくも出来るのですね！このセンニチコウとか、茎がとっても長いです」
「ああ、液を吸わせて乾燥させたものですね。確かに、瓶に入れるには少し大きすぎるかも……」
揃って顔を青くする二人。
別にそんな大事じゃないのに。
「大丈夫よ。小さいのも大きいのも結局好きな大きさにカットするから。花弁をバラしたりだとか」
「成程！確かにそうですね！」
納得したように頷くヘレナとは反対に、Aは大きく目を見開いた。
「あっ、どうしょう！？ハサミ忘れちゃいました……」
鞄を丸々中庭に置いてきてしまいました……。と、項垂れるA。
「あっ、エマも部屋に忘れてきちゃったなの」
「あら。道具箱はいつも持ってるから道具には困らないと思って何も言ってなかったけど……。事前に伝えておいた方が良かったわね」
「す、直ぐに取りに行ってくるので暫く待ってて下さい！」
そう言ってAは部屋を飛び出した。
「光の速さね……」
呟くと、ヘレナが苦笑いした。
そこで私は違和感に気がついた。
「エマ、今日は全然喋らないわね。どうかしたの？」
いつもはおしゃべりなエマがあまり喋っていない。何かあったのか心配になってくる。
指摘するとエマは慌てて笑顔を貼り付けた。
「……大丈夫なの。ただ、ちょっと嫌な予感がするなの」
「嫌な予感？」
「そうなの。Aは昨日、自分の恋心を自覚したなの」
「そうなの？良い事じゃない！」
だが、私とヘレナは顔を明るくするが、エマの表情は不安が滲んだままだった。
「良い事だけど……。この変化が、悪い事を招いてしまうような気がするなの……」
そう言ってエマは、心配そうな瞳でただAが出ていったばかりの扉を見詰めていた。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
