特別な力 ページ37
まあ、お店は私が潰した、が正解なんでしょうが。
すると納棺師さんは真剣な顔をして言った。
「貴女、どれだけ無防備なんですか……。此処には色んなの方がいます。悪い人が混じっている可能性もあるんですよ。だから目的などはあまり話さない方が……。僕から質問しておいてですけど」
まるで大人が子供を叱る様な口調だった。
だが私は納棺師さんの言う言葉にイマイチ納得出来ない。
此処にいる方々は皆優しいくて良い人なのに……。
社交恐怖持ちだし仕方が無いのだろうか……。
「何だかとっても勿体ない……」
自分の主張が伝わっていないと感じたのか、納棺師さんは眉を顰めた。
それにしても、納棺師さんってこんなに表情豊かだっただろうか。
さっきから社交恐怖という言葉が沢山出てきているけれど、私と話している分にはそんなもの感じなかった。
だけどよくよく考えてみたらその打ち解けるスピードも尋常ではない。
ここはご機嫌取りも含めて、冗談混じりに聞いてみることにした。
「納棺師さんの社交恐怖って、私の前では無効なんでしょうかね？まさか私、とっても特別な力が宿ってるのかも」
「それは僕でも分からないですよ。こんな事生まれて初めてですし。特別な力も有り得るかも知れないですね」
特別な力なんてない、と否定される事前提だったのに、にっこり笑って肯定されて少し戸惑った。という事にしておこう。別にこの感情は生まれて初めてというワードに反応したものでは無いんですから。
「僕、生きた人間がとっても苦手だったんです。仲の良いノートンさんは寡黙で、ナワーブさんはもう何度も死線を潜り抜けていたりの特徴があって、もう二人共生きた死体……といっては失礼ですが、それに近いものをもっています。だけど、Aさんは寡黙でも戦地に赴いた訳でも無いですし……。僕でも不思議なんです。何で生きている人とお話していてこんなに楽しいのか」
納棺師さんの言葉の中に、引っかかるものがあった。
それは私の奥底の記憶をまた引っ張り出す。
血
願い
ナイフ
機械音
縄
痛み
トラック
突然のフラッシュバックに吐き気が込み上げてきたが、
「何だかそれって、私が特別みたいで嬉しいです」
分かったかもしれない事と一緒に嘘で塗り固めて誤魔化した。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
