忠告 ページ30
気をつけて。
そう、ビクター君は忠告したけれど。
本当にマイクさんの事なのか分からないし。
もしそうだったとしたら、ビクター君に何をしたのか突き止めたい。
手紙をポケットにしまって、その足音が近づいてくるのを待つ。
そして暫くもしない内に現れたのは、案の定マイクさん。
彼は私を見ると目を見開いた。
「わっ！？吃驚した！！A、こんばんは。どうしたの？こんな時間に」
マイクさんはいつも通りだった。
だけど警戒は解かない。
「貴方の方こそどうしたのですか？大きな声で誰かを呼んで。走り回って」
少し強い口調で言うと、マイクさんは眉をハの時に曲げた。コロコロと表情が変わるのも通常運転だ。
「ええっ！？もしかして僕、うるさくって起こしちゃった？ごめんっ！！」
頭を下げて謝るマイクさん。
本当に反省しています、と書いてあるかのような表情に、口調が強すぎたかな……、と私も後ろめたくなってきた。
「そんな、そこまでじゃないのでっ。次から気をつけて頂ければ……」
「本当！？ありがとう！！やっぱりAは優しいね！！」
マイクさんは笑顔を弾けさせた。
さっきの顔は何処に行ったのかと問いたくなる様な一転っぷりに苦笑いする。
そんな事など構わず、マイクさんは聞いてきた。
「そういえば、ビクターの事見た？」
「えっ！？」
突然の反応に鼓動が早まる。どう答えるべきだろうか。
「もしかして、手紙、貰った？」
顔を覗き込むようにして聞くマイクさん。
ふと手が手紙を入れたポケットに触れた。
「えっと……。もしかして探していたのって、ビクター君のことでしたか……？」
「うん、そうだよ。それより早く僕の質問に答えてよ」
話題を逸らそうとしても無駄だった。
マイクさんは圧力が織り交ざった笑顔で私の事を見つめる。
「……っと。えーと」
ただ愛想笑いを浮かべる事しか出来ない私に、
「何？言えないって事は、何か隠してる？」
いつもよりトーンが低い声で詰め寄るマイクさん。
どうする？どうするべきだ！？私！
自問自答するが答えなど出る訳もなく、ひたすらに張り詰めた時間が流れていく。
どうしよう……。ビクター君の言っていた事が分かった気がする。マイクさんってこんなに怖い笑顔も出来るんだ……。
息がしずらくなって身体が震える。
愛想笑いしている頬が強ばる。
どうすれば………！？
「何をしてるんだ」
その声は張り詰めた空気を緩める響きだった。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
