作り方 ページ28
「結局、だいぶ時間が掛かってしまいました……」
疲労が混じったため息は、夕日に照らされたオレンジ色の空気と混じる。
「ジョゼフさんは私の事を根掘り葉掘り聞き出そうとしていましたが、そんなに信用ならないのでしょうか……」
ふと呟いた言葉を頭を振ってかき消す。
信用ならないという事はまだ仲良くなれていない証拠。ひとつ屋根の下で生活するのなら、仲良くした方がもっと楽しい筈だ。
「ですが……何か変な圧力の様なものを感じたのですよね……」
ジョゼフさんの直射日光の様なあの視線、態度。そのせいなのか少し頭が重い。
「何か狙いが……？」
否、私はただの花屋だ。世界を救う鍵など握っていない。
フラフラと歩いていると、誰かにぶつかってしまった。
「わっ、すみません！」
見上げるとその方はナワーブさんだった。
「どうした？だいぶくたびれた顔してんぞ」
ナワーブさんは心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「ご心配なく。大丈夫ですよ」
「なら良いけど……。何かあったら遠慮なく言えよ」
そう言ってナワーブさんは私の頭を撫でた。
そして思い出したかの様に呟く。
「そうだ。エマとヘレナがお前の事探してたぞ」
「え、あっ！ドライフラワー！」
頭から半分抜け落ちていた。採りに行って貰っていたんだった。こうしては居られない。
「用事を思い出したので失礼します！」
ナワーブさんに頭を下げて走り出した。
◆
二人は案外早く見つかった。
「あ、Aなの！」
元気に手を振るエマちゃんに手を振り返す。
「大丈夫でした？変な事されませんでしたか？」
「質問攻めされたくらいです。全然大丈夫ですよ」
ほっと胸を撫で下ろしたエマちゃんが下げた籠には、ラベンダーとセンチコウが沢山入っていた。
「凄い！こんなに沢山……！ありがとうございます！」
「いえいえなの！」
「この量で大丈夫そうですか？」
「はい！では早速ドライフラワーを作りましょうか！」
◆
カーネーションとバラは花とシリカゲルを密封容器に入れるシリカゲル法、カスミソウは少量の水に花を挿しながら乾燥させるドライインウォーター法、センニチコウはグリセイン溶液に花を挿して吸わせるグリセイン法が一番相応しい筈。
二人も協力してくれて、私の部屋は花の入った瓶や花瓶で溢れかえった。
これで時間を置けばドライフラワーの完成。
素敵な物が出来るといいな。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
