森へ ページ25
流石にヘレナちゃん一人で取りに行かせるのは危険で心配だし申し訳ないので、エマちゃんと私も一緒に森へ行く事になった。
「玄関で誰かに見つかってしまうと少し行きずらいので、こっそり行きますよ」
そう言ってヘレナちゃんは人差し指を口にあてた。
皆試合に出ていて人気のないエントランスホールまで来た。
良かった。誰もいないようだ。
問題なく外に出られるな、と思った時、私の肩に手がぽんっと置かれた。
きっと後ろにいたエマちゃんだろう。
「どうましたか？」
小さな声で言って振り返ると、エマちゃんの顔は引きつっていた。
そして私の肩に置かれた手はエマちゃんには繋がっておらず、その後ろに居た、白髪で青い衣装に身を包んだ高身長の男性に繋がっていた。
「じょ、ジョゼフさん……」
彼の名前を呼ぶと、
「やあ、可愛いお嬢様方」
猫撫で声で言って丁寧にお辞儀した。
バクバクと心臓が高鳴る。
バレた……。しかもハンターのジョゼフさんに。
「ジョゼフさん。何かご用ですか？」
固まってフリーズする私とエマちゃんの代わりに、ヘレナちゃんが話し掛けた。
「いや、こんな所で何をするのかと思ってね」
ジョゼフさんは荘園の主に使えるハンター陣だ。外へ行く、なんて正直に言ったらこのゲームから逃げる気だと勘違いされてサーベルのシミになりかねない。
「勿論、外へ行くのですよ」
だがヘレナちゃんはにっこりと笑って正直に言った。
え、ヘレナちゃん！？
心の中で焦りと動揺が渦を巻いた。
「何をしに？」
「お散歩ですよ」
「嘘をついて逃げる気か？」
「私はいつも帰ってきてるでしょう。いつもの事ですし、何で今日はそんなにしつこく質問されるのですか」
怒った、と言うよりも純粋に疑問に思う様な声だった。
「えっ、ジョゼフさん、ヘレナが森へ行ってるの知ってたなの？」
驚いた顔でエマちゃんが言う。
すると、ジョゼフさんは言い負けたかの様にため息を着いた。纏っていた強気なオーラも感じられなくなった。
「花を摘みに行かなければ行けないので、ご用が無いなら失礼しますね」
一礼して外に繋がる扉へと向かおうとするヘレナちゃんに縋り付くかの様にジョゼフさんが言った。
「少し待ってくれ。私はAに用があるんだ」
「え、私ですか？」
突然名前を出されて驚いた。
「ああ。少しの間彼女を借りてもいいかい？」
「ふざけないでなの！Aは」「良いですよ」
私は驚いた表情のエマちゃんに微笑みかけた。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
